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少子化問題
人口減、経済や税収に影響


少子化が進むと
どんな問題が
あるの?
日本では1970年代後半から、子どもの数が減る「少子化」が続いている。年間の出生数は、終戦直後のベビーブーム時には約270万人、そのとき生まれた子どもが親世代になった1970年代初めには約210万人だった。しかし、今では100万人ほどだ。
人口を維持するには、一人の女性が生涯に産む子どもの数の平均である「合計特殊出生率」が2・07を超える必要がある。日本は1・46と、他の先進諸国と比べかなり低い。このままだと日本の人口は、現在の1億2700万人から、2060年には8674万人に減ると推計されているんだ。
人口が減ると、モノやサービスを買う人や働く人が減るので、経済活動が弱まるし、税収も減ってしまう。年金や医療保険など、みんなでお金を出しあって支える仕組みも、今まで通り続けるのが難しくなる。
子どもの数が少なくなったのは、結婚しない人が増えていることが一因だ。50歳までに一度も結婚しない人の割合は、男性が2割、女性が1割程度。25年前はそれぞれ5%前後だったので、大幅に増えているよ。「適当な相手と出会えない」といったこともあるけど、パート勤務など非正規労働の若者が増えたことも理由の一つとされる。給料が安く、安定しない立場のため、結婚して家庭を持つことをためらう人が多いんだ。
晩婚化で女性が子どもを産むタイミングも遅くなり、第1子出産時の母親の平均年齢は、25年前には27歳ぐらいだったのが今は30歳を超えた。「高齢で産むのが嫌」と、望む人数の子どもを持たない夫婦もいる。
共働き家庭が増えているのに、保育所に空きがなかったり会社を休みづらかったりと、育児と仕事の両立が難しいことも影響しているとみられているよ。
結婚や出産をするかは個人の自由だけど、本当は子どもが欲しいのに持てない状況があるなら、改善しないといけないね。海外では、フランスやスウェーデンなど、国が両立支援や保育の充実などの施策を手厚くして、出生率が回復した例もある。成果が出るまでには時間がかかるから、対策が急がれるね。(小沼聖実)
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