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からだコラム

[栄養で治す]見直される「医食同源」

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 「医食同源」という言葉を聞いたことがあると思います。日頃からバランスのとれたおいしい食事をとることで病気を予防し、治そうという考え方のことです。中国の「薬食同源」の思想に着想を得て、日本で造られた言葉です。

 今では中国に逆輸入されている言葉ですが、現代の高度に発達した医学の中では、いつの間にか置き去りにされてしまった考え方のように思います。

 日本社会は急激に高齢化が進み、2025年には人口の2割が75歳以上になると予測されています。「少子高齢化」で患者数が爆発的に増える一方、医療従事者は不足が懸念されます。

 日々の診療の中で私たちは患者から多くのことを学びますが、高齢の患者から学ぶことの一つが「動いて食べる患者はよくなる」ということです。高齢者は筋肉が衰えて減るため、若者のように素早く動くことや長時間の行動が難しくなってきます。日々の運動が大切ですが、傷病者は体を動かすことができません。

 そこで入院時、かつてのように安静を保つより、むしろ積極的にリハビリテーションを行い、筋肉の衰えを防いだり、増やしたりする方が良いという考え方が主流になってきました。

 筋肉という組織は単に体を支えたり、動いたりするためだけのものではありません。筋肉の中では様々な栄養素が代謝され、貯蔵されています。ですから筋肉の維持や増加は、健康を保つためにとても大切な要素の一つなのです。

 しかし、薬だけで筋肉を維持するのは極めて難しいため、その原料になる栄養を ることが必要です。医食同源は、このような大事な内容を含んでいるにもかかわらず、置き去りにされた考え方でしたが、高齢の患者の増加とともに見直されるようになりました。(宮沢靖・近森病院臨床栄養部長、管理栄養士)

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