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なぜ蚊に刺される?

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体温、呼気、皮脂の臭い感知

なぜ蚊に刺される?

 蚊は夏のやっかいものだ。屋外で、室内で、どこからともなく飛んできては刺す。どのように人を察知しているのだろうか。

 蚊の生態の研究や殺虫剤メーカーへの情報提供などを行う会社「害虫防除技術研究所」(千葉県八千代市)所長の白井良和さんは、「蚊は、体温、呼気の二酸化炭素、汗に含まれる乳酸と水分を、触角や口の部分にある器官などで感じる。皮脂の臭いも蚊を引き寄せます」と話す。これらの情報を組み合わせて人を察知する。「おとりとして、炭酸飲料を置いたり、汗を吸ったタオルをかけたりするだけでは、蚊はだまされません」

 運動や入浴の後、飲酒時は刺されやすい。また、血液型がO、B、AB、Aの順に刺されやすいとの研究報告もあるが、因果関係は不明という。

 日本で人を刺す蚊は、シマ模様のあるヒトスジシマカ(ヤブカ)と、茶褐色のアカイエカ(イエカ)が代表的だ。

 ヤブカは草むらや木陰で待ち伏せしている。朝(午前6~9時ごろ)と夕方(午後4~6時ごろ)に近付いてきた人を刺す。

 一方、イエカは夕方、窓やドアの隙間などから室内に入る。網戸のほつれや台所の換気口から入ることもある。室内に潜み、夜になると刺すことが多い。

 人を刺すのはメスだけ。血を吸って、産卵の栄養源にするためだ。血を凝固させないために出される唾液によりアレルギー反応が起き、かゆみや腫れを招く。かゆみや腫れが何日も続く人もいる。犬や猫を刺すこともある。刺された時は、流水や氷などで冷やすと、かゆみを防げる。そのうえで、かゆみ止めや腫れを抑える薬を塗る。

 蚊は水たまりや、放置されたバケツ、植木鉢の受け皿などにたまった水に産卵する。一度に50~200個ほど産卵し、10日前後で成虫になる。

 蚊は病気を媒介する。2014年、国内で発熱や筋肉痛を起こすデング熱が広がった。中南米を中心にジカウイルス感染症(ジカ熱)も問題になっている。

明るい色の服を

 蚊に刺されないためにはどうするか。

 屋外では、なるべく肌を露出しない。長ズボンをはき、サンダルはやめて靴と靴下をはく。

 蚊は白と黒を識別し、暗い色を好むとされる。外出時はなるべく白など明るい色の衣服を身につける。

 スプレータイプの虫よけ剤を顔に使う時は、吸い込んだり目に入ったりしないよう、手のひらや布に噴射し塗り広げる。ディートという成分を使った虫よけ剤は、12歳未満の子どもに使用制限がある。

 室内では、イエカを入れないよう、網戸は破れやほつれを修繕し、夕方はドアを開けたままにしない。換気口に細かい網を取り付けるのも効果がある。幼虫(ボウフラ)を発生させないよう、家周辺の側溝などを清掃しておく。

 網戸を使って窓を開ける場合は、蚊取り器は風上に。アース製薬の広報担当者は「成分は観賞魚や昆虫にも有害なため、飼育している部屋では使わないでください」と話す。

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