いきいき快適生活
介護・シニア
「3世代旅行」工夫、無理なく楽しむ
「周遊」より「滞在」/旅先費用共同で
子や孫と連れだっての「3世代旅行」や、孫だけと出かける「孫旅」が広がっている。それぞれの興味や関心、体への負担を考慮しながら計画を立て、夏から秋にかけての行楽シーズンを楽しみたい。
東京都内の主婦(67)は7年ほど前から毎夏、夫(72)、別居する30代の息子夫婦、小学生の孫2人と、2~3泊程度の国内旅行に出かけている。
共働きで忙しい息子夫婦に代わって、主婦と夫が計画を立案し、30万円ほどの旅行資金も全て用立てる。海へ山へと毎回行き先を変えたり、バイキング形式の食事が出る宿泊施設を選んだりと、皆が楽しめるよう工夫を凝らす。
主婦は「お金も体力もかかるが、孫のためにあれこれ考えるのは楽しい」と笑う。
JTBが1月、約2500人を対象に行った調査では、3世代旅行の経験者は57%。目的として、30%が「家族との絆を深める」とし、12%は「定期的に実施」と答えた。
JTB総合研究所主任研究員の早野陽子さんは「核家族化で子世帯と別々に暮らすのが当たり前になる中、孫の成長を確認できる機会と考えている人が多いようだ」と見る。
ただ、普段は別に暮らす世帯が一緒に行動するため、生活リズムが合わずに心身とも疲れることもある。満足の行く旅にするにはコツがある。
旅行のタイプでは、日ごとに宿泊先を変える周遊型よりも、1か所に泊まって施設内やその周辺で楽しむ滞在型が、移動の疲れを減らせるのでお薦めだ。部屋は全員で寝泊まりする大部屋ではなく、隣り合わせの部屋を内側のドアから行き来できるコネクティングルームにすれば、それぞれ息抜きの時間を作れる。
旅先での予定を詰め込みすぎると、旅行中や帰宅後に体調を崩しかねない。「体の具合などを見つつ、その日の行動を変更できるぐらいのゆとりを持たせて」と早野さん。
旅を楽しく終わらせるには、お金の問題も重要だ。娘や孫娘と年に数回旅行するという家族問題評論家の宮本まき子さんは、「費用にけじめをつけることも大切」という。旅行資金に加え、旅先での交通費や食事代、土産代まで負担させられ、後々不満を抱くケースもあるそうだ。
宮本さんが薦めるのが「共同財布」。旅先でかかる費用を見積もり、その額を両世帯で出し合い、ひとまとめにしておく。お金がなくなれば、また互いに必要な分を追加し合う。
一方、親抜きの孫旅では、孫が小さいと、突然ぐずったり駆け回ったりした時の負担が大きい。「実行するなら、会話が成り立ち、トイレも一人でできるようになった4歳ぐらいからが適当でしょう」と宮本さん。
健康や安全面の配慮も必要だ。孫の保険証のほか、アレルギーなどの持病があれば常備薬は必ず携帯する。緊急時の連絡先や対処法などもメモしておこう。
宮本さんは「3世代家族の暮らしは、今は非日常。旅行はそんな暮らしを体験できる貴重な機会でもある。体力面でも資金面でも無理をせず、よりよい思い出を作ってほしい」と話している。
■子や孫との旅を楽しむコツ
・ 宿泊先は1か所にする。施設内やその周囲に観光スポットがある滞在型のリゾート施設などが楽
・ 部屋はコネクティングルームなどにし、プライベートな時間を確保する
・ 旅程は詰め込まず、余裕を持たせる
・ 旅先での費用は両世帯で出し合うと後腐れがない
・ 孫だけとの旅行は、言葉でコミュニケーションができる4歳ぐらいからが適当
(早野さん、宮本さんの話を基に作成)
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