科学
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意外と怖い!部屋の埃に生息するカビ…呼吸不全で死に至ることも
梅雨時から夏にかけて発生するカビ。私たちの身の回りには、台所などの水回りのほか、網戸やエアコンなど意外なところにも潜むという。カビを長年研究している千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志准教授はこのほど、BS日テレ「深層NEWS」に出演し、実は怖いカビの実態について解説した。
(構成 読売新聞専門委員・東一眞)
◆吸い込んだカビ
私たちは、呼吸量から考えて1日に1万個のカビを吸っているといわれています。健康な方でしたら特に問題はありません。ただ、免疫が落ちている人などは健康に影響がある場合があるかもしれません。例えば、がんの末期の人、治療のために薬を飲んで免疫を抑えている方、あと高齢の方、幼い赤ちゃんなどは危険度が高いといえます。
カビの種類は大変多く、8万種~10万種類くらいありますが、我々の周りにあって本当に危険なものは10種類くらいだといわれています。カビを吸い込んで、健康被害がある場合の初期症状は、(1)微熱(2)咳(せき)(3)痰(たん)――などです。肺炎の一種と思っていただければいいのですが、肺の中にカビが感染してしまうのです。普通の抗生物質を飲んでもよくならないときには、専門の医師の診断を受ける必要があると思います。
こういう症状の一番大きな原因はアスペルギルスというカビです。私たちの身の回りですと埃(ほこり)の中とか、空気のよどんだところに多く生息しています。埃がたまりやすい場所ですね、エアコンでもフィルターの埃のところにつく場合があります。
実際に肺に入ったケースもあります。結核などで肺に傷があって、そこにカビが定着してしまって増えることもあります。カビがある程度増えてしまって、肺の機能が低下して、呼吸不全を起こし、死に至るケースもある。血流にのってほかの臓器まで転移してしまうとさらに重篤になります。カビが原因で死亡する人は年間1000人くらいですが、そのうちアスペルギルスが原因でお亡くなりになるのが、その約半分です。普通健康な方は問題ないですけれども、昔結核などで肺に傷がある方とか、免疫が落ちている方は注意が必要です。
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