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医療部長・山口博弥の「健康になりたきゃ武道を習え!」

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喫煙者は入門できません

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 このコラムも6回目を迎えました。このあたりで、私が稽古を続けている護身武道「 心体育道しんたいいくどう 」について簡単に説明したいと思います。

 創始者の廣原誠先生は、1961年7月4日生まれ。私より一つ年上です。

 1977年、当時の極真会館 芦原あしはら 道場(現・芦原会館)に入門、1984年から芦原会館指導員となり、東京本部で指導されました。芦原会館と言えば、私らの年代の男性はみんな知っている劇画「空手バカ一代」に登場する“ケンカ十段”、芦原英幸氏が作った空手団体です。

 廣原先生は1987年に渡米して芦原空手を指導し、全米空手チャレンジ(サバキチャレンジ)の重量級に2年連続出場、自分より体の大きなアメリカ人たちを見事な さば き技で翻弄し、2連覇を果たします。

 しかし、試合という枠の中で行う捌きの技術に疑問を感じ始め、自分の動きの中にある無理・無駄・隙を省いていくうちに大きく技が変化し、1993年、護身武道「心体育道」ができたのです。

 心体育道は、暴力から身を守る「表の捌き」と、病気から身を守る「裏の捌き」から構成されます。

 「表の捌き」は、実際のストリートファイトにおける護身を想定しているので、相手はどんな攻撃を仕掛けてくるか分かりません。相手は必ずしも一人ではなく、複数の場合もありえます。だから、無理・無駄のない最小限の動きで相手の攻撃を捌いた上で、鍛えようがない相手の目や 金的きんてき (男性の下半身の急所)、膝の関節などに攻撃を返します。つまり、力の弱い人でも暴力から合理的に身を守るために、空手や格闘技の試合では反則とされている技を多く使うわけです。

 しかし、日々の練習の中で、実際に目や金的に攻撃を入れるなどという野蛮なことはできません。そこで、相手と組んで行う稽古では、攻撃側と捌き側を決め、攻撃側は、相手に当てるつもり(フルコンタクト)で、思いっきり攻撃します。捌き側は、その攻撃技を受けたりよけたり止めたりして相手の体勢を崩し、相手の急所に寸止め(ノンコンタクト)で突きや蹴りを入れます。投げたり倒したりすることもあります。1対1の練習が基本ですが、時には1対多数でこの練習を行います。

 これに対して、病気から身を守る「裏の捌き」は、ヨガなどを取り入れた健康術です。裏の捌きについては後日、改めてこのコラムで書くことにしますが、ここではその考え方だけを説明します。

 暴力から身を守る護身の技術を身に付けても、病気がちだと技術も生かせません。スポーツなら、試合の日にむけて体調を整えることもできますが、路上の暴力はいつ我が身に降りかかってくるか分かりません。運悪く暴漢にからまれた時、相手に「今日は体調が悪いから、日を改めてからんできて下さい」なんて言えませんよね。武道家は常にベストコンディションでいるのが理想。だから心体育道では、表の捌きと表裏一体の健康法「裏の捌き」を欠かさず行っているわけです。

 そもそも武道とは、あらゆるリスクから身を守り、充実した人生を送るために学ぶもの。武道をやって体を壊しては本末転倒です。護身の技術は、健康な心身がベースになければならないのです。

 こうした考え方から、私が所属する道場では喫煙者の入門を認めていません。

 喫煙は、健康を害するリスクが非常に高い。そんな行為を習慣にしている人には心体育道を修行する資格がない、と考えるからです。

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山口 博弥(やまぐち・ひろや) 読売新聞東京本社医療部長

 1962年福岡市出身。1987年読売新聞社入社。岐阜支局、地方部内信課、社会部、富山支局、医療部、同部次長、盛岡支局長を経て、2016年4月から現職。医療部では胃がん、小児医療、精神医療、痛み治療、高齢者の健康法などを取材。趣味は武道と瞑想めいそう。飲み歩くことが増え、健康診断を受けるのが少し怖い今日このごろです。

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