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からだコラム

[栄養で治す]「やる気」を買った指導教官

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 臨床現場での栄養サポートを学ぶために渡米した私は、指導教官を大いに悩ませました。英語力なし、医学知識なし、栄養学の知識も乏しく、わずか4か月で帰国予定。あるのは「やる気と笑顔」だけでした。

 そんな私に対し、指導教官は「毎日、英文論文を1本夕方に渡すので、大切な箇所に線を引いて、その論文に対する自分のコメントを書いて翌朝に提出しなさい」と命じました。

 論文の内容は、栄養学というよりも、その基礎になる病気や体の仕組みに関するものが中心でした。

 毎週5本の論文とコメントが蓄積され、土曜日に指導教官の自宅で昼食をごちそうになった後、添削してもらいました。毎回ノートが真っ赤になり、心が折れた状態で帰宅しました。

 当初1本の論文を読むのに深夜2時から3時ごろまでかかり、朝6時から病棟で研修という毎日でした。土曜日の午後10時に寝て、目覚めたら日曜日の夕方だったこともありました。まだ20歳代後半だったので何とかこなし、3か月ほどたったころ、指導教官に思いを打ち明けてみました。

 「留学は4か月の滞在許可を得ているが、本当は1年間勉強したい。滞在を延期できないでしょうか」。才能のない者に厳しい国だと思っていたので、無理は承知でしたが、笑顔で「いいよ。よく頑張っているからね」との返事でした。

 アメリカンドリームと呼ぶにはスケールが小さ過ぎますが、僕にとっては、大きな夢への第一歩を踏み出した感じがしました。

 今考えると「英語力なし」は全てがマイナスではなかったと思えます。英語が話せないことで病棟スタッフがとても親切に教えてくれたり、寂しいだろうからとパーティーに誘ってくれたり、意外にエンジョイできた部分もありました。(宮沢靖・近森病院臨床栄養部長、管理栄養士)

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