虹色百話~性的マイノリティーへの招待
医療・健康・介護のコラム
第50話 同性婚の法律って、どうやって作るの?
同性婚は民法に1条加えればできる
前回の「国会で改憲論議が起これば、同性婚はどうなる?」( /article/20160720-OYTET50034/ )では、現憲法下では同性婚を明示的に認めてはいないが、さりとて禁止もしていない。憲法は市民を拘束するものではなく、規制されるのは国家の側。現憲法下でも国家に同性婚を立法化させることは可能、と書きました。では、同性婚を立法化するとは、具体的にどういう法律をつくることになるのでしょうか。
昨年4月、都内で開催された講演会で、憲法学者の木村草太さんがその回答例を紹介してくれました。木村さんは、憲法は同性婚を禁じていない、なので立法が可能である、という立場をとっています。
ちなみにこの講演会は、性的マイノリティー当事者や支援者の弁護士を中心とする法律家でつくる「LGBT支援法律家ネットワーク」の有志が企画したもの(私も行政書士として参加しています)。同ネットワークはメーリングリストで情報共有に努めるほか、各地のLGBTイベントでブース出展や臨時相談会を開催するなど、当事者の司法アクセスの垣根を少しでも下げること、そして昨年は有志で日弁連への同性婚人権救済申し立て( http://lgbt.sakura.ne.jp/lgbt/ )にも取り組んでいます。
さて、同性婚合法化のための法律とは、どういうものか?
木村さんが紹介したのは、婚姻について定める民法の731条(男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。)に続けて、731条の2として、次のような条文を加えるものでした。ちなみに法律の改正では、条の番号(条名)をずらすと、いろんな不都合が生じるので、適切なところにあとから枝番号で新条を挿入することがよくあります。ですから、731条と731条の2は、別の条項です。
民法731条の2 婚姻は同性の間でもこれを行うことができる。
ああ、これだけのことなのか、と思いました。別に「同性間の婚姻をナントカカントカの特例に関する法律」なんてものを作るわけじゃないんですね。
木村さんによると民法は、低年齢婚(731条)、重婚(732条)、近親婚(734条)などは明文で禁止していますが、意外にも(?)同性婚は禁止していません。なので、まずこれを入れます。そして、731条の2の2項として、
2項 前項の婚姻について本法(注、民法)を適用するときは、「夫婦」とあるのは「●●(←同性の「ふうふ」についてなにか適切な用語を考える)」、「夫」とあるのは「一方の配偶者」、「妻」とあるのは「もう一方の配偶者」と読み替えるものとする。
と規定します。やはり、「夫」「妻」「夫婦」という言葉から民法内で同性婚は想定されないとする解釈が一般的です。夫婦の言い換えは、「夫夫」や「婦婦」でも「ふうふ」と読めますが、みなさん、アイデアを絞ってみてください。
同性の両親が子どもをもつこと
ただ、ここで考えないといけないのは、「子ども」のことです。こうして読み替えをした場合、民法の他の規定が、どれもうまく同性婚の場合にも適用できるでしょうか?
民法772条に「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」という規定があります。これを同性婚バージョンで、「一方の配偶者が婚姻中に懐胎した子は、もう一方の配偶者の子と推定する」と変換できるか?
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このような社会的に不平等な扱いを受けている人達が社会変革を起こすには、他の虐げられている人との連帯が必要だと思います。結婚制度でいえば夫婦別姓とか。以前、民進党の長妻昭議員の市民集会で同性愛問題についてきいたら夫婦別姓の訴訟をしている人が同調すると言っていました。どうして連帯しないのでしょう。連帯といえば沖縄で米軍基地反対運動と連帯したらいかがですか? 今は国家権力による凄まじい弾圧にさらされています。協力してはいかがですか? イギリスでは閉鎖で失業の危機にさらされた炭鉱労働者をLGBT団体が手助けしたことで炭鉱労働者組合が、逆に権利運動の後押しをした実例があります。日本では広がりはなく内ゲバで終わることが多いような。
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