文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

科学

科学

わずか3分、白内障の革新的手術<下>まぶしく感じたら眼科医に相談を

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 白内障をわずか3~4分で手術する方法を考案した三井記念病院眼科部長の赤星隆幸医師。このほど出演したBS日テレ「深層NEWS」の後半部分では、白内障手術の費用や、移植するレンズの種類、白内障の見分け方などについて語った。

(構成 読売新聞専門委員 東一眞)

◆白内障手術の費用

 白内障の手術では、人工のレンズを入れますが、普通の単焦点レンズはすべて保険適用です。3割負担の患者さんは片眼で5万円くらいですか。1割負担の高齢者の場合は2万円程度で手術を受けることができます。

 近くも遠くも見える多焦点レンズの場合、老眼も、近視、遠視も治る。これは、保険がききません。ただ、先進医療の扱いになったので、保険で先進医療の適用になっている方は大丈夫です。入っていないと両眼で80万円くらいと、多少高いです。多焦点レンズの場合は、両眼一緒に手術するのが原則です。

 乱視を治すトーリックレンズというのがありますが、単焦点のトーリックレンズは保険適用です。どこの病院で受けていても、乱視を治すレンズは入れることはできる。

わずか3分、白内障の革新的手術<下>まぶしく感じたら眼科医に相談を

図1 BS日テレ「深層NEWS」より

 手術の成功率ですが、白内障を取ってレンズを入れるという技術的なことについていえば、100%です。ただ、中には目の奥の網膜のほうに糖尿病の網膜症などがある、緑内障があるとか、別の病気があって、白内障のレンズを取り換えても、視力が上がらない患者さんもいらっしゃいます。

 一度入れたレンズを取り換えることは、技術的に不可能ではないですが、一般的ではありません。袋の中に入っている直径6ミリのレンズを、2ミリの傷口から取り出さなければならない。それにはレンズを目の中で切らなければなりません。そのためのハサミを私は独自でデザインしましたが、ただ3分の1にレンズを切って取り出して、新たにレンズを入れるとなると、レンズを吊(つ)っているチン小帯に負荷がかかるのです。眼内レンズは一度入れたら、一生それを使うものと理解してください。手元が見たい人は手元用の単焦点レンズ、遠くが見たい人は遠く用の単焦点レンズ、遠近両用の多焦点レンズもある。その選択はよく考えてください。

 レンズの耐用年数は50年、60年は大丈夫です。最初のレンズは1949年に作られたのですが、耐用年数に関しては問題ありません。

◆術後のケアが大切

 手術の一番大きなリスクは術後の感染症です。手術は短いからといって決して簡単ではないのです。後のケアを怠ると失明します。傷口からばい菌が入ってしまうと、目の中というのは抗生物質が効きにくい領域です。だから、一番怖いのが感染症です。術後は決められた回数の点眼をしっかりして、5日間ぐらいは顔をジャブジャブ洗ったりするのは控えていただきたい。お酒は、最初の1週間くらいは控えたほうが、炎症を強くしないので、よいと思います。

 手術の後、昔は軟膏(なんこう)つけて眼帯していたが、今は、私たちの病院ではゴーグルをかけて帰ってもらいます。埃(ほこり)よけにもなるし、夜寝るときにつけて寝てもらえれば、万一目を擦(す)ったりしてもこれで保護できる。

 私の手術は、体の負担がすくないので、100歳などの高齢の方でも手術は可能です。ただ、水晶体というのは年とともに、硬くなっていきます。年とともにレンズを吊っているチン小帯という糸が弱くなってきたり、角膜の回復が遅くなってきたりすることがあるので、不自由があったら、手術は誰でも怖いとは思いますが、眼科医に相談していただければと思います。白内障があって、手術できる状態であれば、手術を受けられたほうがいいと思います。

id=20160725-027-OYTEI50026,rev=2,headline=false,link=true,float=center,lineFeed=true

図2 BS日テレ「深層NEWS」より

 点眼薬では濁ってしまった水晶体を元に戻すことは一切できません。多少進行を抑える効果があるかもしれませんが、最終的には手術をしないと治すことができません。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

科学の一覧を見る

最新記事