室伏由佳のほっこりスポーツカフェへようこそ
医療・健康・介護のコラム
4年に1度のチャンスをどうつかむか?オリンピックに魅せられて(中)弱点の克服、本当の自分を受け止める法則
みなさん、夏も本番ですね。私は普段、ホットコーヒーやカフェラテを飲むことが多いのですが、暑い中、外出した時には、ストレートアイスティーがすっきりとしてとてもおいしく感じます。みなさんはどんな涼み方をしていますか? 前回のカフェでは、私自身が体験したオリンピックまでの道のりについて 綴 りました。今回はその続きを書いてみたいと思います。
アスリート時代、私は本番でなかなか力を発揮できない選手でした。大会までの身体的な体調管理の失敗経験なども多くあります。しかし、「失敗」したと思うほとんどの要因は、過度な緊張といった「心理的」な面に起因していました。いつも通りの「本当の実力」が出せない。そうした 悶々 とした気持ちで長い年月悩んでいました。
「いつかは強い自分になりたい」と思い続けてきましたが、人間そう簡単に変わるものではありません。よほど強い内的、外的な刺激や動機付けが必要になるはずです。
そして、とうとう「自分の殻」を打ち破る時が来ました。2004年アテネオリンピックの代表が発表された1次選考で代表入りが 叶 わなかったことについて前回のカフェで綴りました。この「代表漏れ」が私を大きく突き動かします。オリンピック出場がかかった、最後のチャンス。自分で勝ち取るしかない、そうした状況下に置かれたことにより、 堅忍不抜 の精神が表れます。「心を強く持とう、絶対にあきらめない」。どうなるか分からないけれど、この難関を切り抜けようと思えました。
トレーニングはフィジカルだけではない!心理的スキルトレーニングの重要性
2001年、私はスポーツの様々な場面で出現する心理的側面のトラブルや悩みを解消すべく、大学院に入学し、スポーツ認知・行動科学を専攻します。「動機付け(モチベーション)」に関する研究や、「メンタルタフネス(心理的な強さ)」についてスポーツ心理学や認知行動学の分野の中でいろいろと調べ、読み 漁 りました。
読めば読むほど、自身が失敗する原因となりがちな「あがり」「過度な緊張」などについての内容に落胆します。まるで、自身のことが書いてあるように思えました。そこから、どのようにトレーニングをすると心理的な側面が強化されるのか、コーチである父とよく相談しました。その結果、ハンマーや円盤を投げる 投擲 練習の時に、「心理的スキルトレーニング」を取り入れ実践することにしました。
2003年から2004年にかけて行った冬季トレーニングの中で、本番で実力を出すことを目的とし、投擲練習を行いました。それは、実際の競技会で起こりうる「苦手意識が出る心のシーン」を想定しながら行う「試合形式」のトレーニングでした。ゲーム性の高いチームスポーツなどでは、試合形式でのトレーニングは当然行われるものかもしれません。しかし、私の競技では、ある程度自分のペースで競技を行い、タイミングを取りながらパフォーマンスを発揮します。
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