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女性ホルモン補充に認知症予防効果なし

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米研究

女性ホルモン補充に認知症予防効果なし

 女性は閉経を迎える頃に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減り、それが原因でホットフラッシュ(顔のほてり)や頭痛、目まいなどさまざまな症状、いわゆる「更年期障害」に悩まされることがある。その代表的な治療法として知られるのが、不足したエストロゲンを補う「ホルモン補充療法」だ。この治療で使われるエストロゲン製剤には、更年期症状を緩和するだけでなく、記憶力などの認知機能が低下するのを抑えるのではないかと考えられてきた。しかし、「エストロゲン製剤を飲んでも認知機能には何の影響もない」とする米国の調査結果が、7月15日発行の米医学誌「Neurology」( 電子版 )に発表された。ホルモン補充療法で更年期のつらい症状が軽くなるだけでなく、認知症まで予防できるなら一石二鳥だが、そこまでは期待しない方がよさそうだ。

いつ始めるかにかかわらず影響なし

 調査を実施したのは米スタンフォード大学保健研究・政策学部のビクター・ヘンダーソン氏ら。同氏らによると、ホルモン補充療法は閉経後すぐに始めれば記憶力などの認知機能が低下するのを防げるが、閉経から長期間を経て始めると、そうした効果は期待できないと考えられているという。ちなみに、このようなホルモン補充療法を始めるタイミングによって認知機能への影響が異なるという考え方は「タイミング仮説」とも呼ばれている。

 今回ヘンダーソン氏らは、ホルモン補充療法による認知機能の影響でこのタイミング仮説が本当に成り立つのかを確かめるため、調査を実施したという。対象は、閉経から6年以内または10年以上経過している41~84歳の健康な女性567人。約5年間、17β-エストラジオールというエストロゲン製剤の飲み薬(1日当たり1ミリグラム)を飲んでホルモン補充療法を行うグループと、プラセボを飲むグループに分け、治療開始から2年半経過した時点での言葉を記憶する能力や実行能力、総合的な認知機能の検査を行った。その結果、いずれの検査結果もホルモン補充療法を受けた女性のグループとプラセボを飲んでいたグループの間に差がなかった。また、閉経から6年以内の女性と10年以上経過している女性の間にも差はなかった。

 これを踏まえ、ヘンダーソン氏らは「エストラジオールを使ったホルモン補充療法は、閉経後どのタイミングで始めるかにかかわらず認知機能に有害でも有益でもないことが示された」として、「タイミング仮説は否定された」と結論。「この結果は、閉経を迎えた女性が記憶力を向上させるためだけにホルモン補充療法を受けるべきでないこと、一方でホルモン補充療法が認知機能に悪影響を及ぼす可能性は心配しなくても良いことを示すもの」と解説している。

 ただ、今回の調査に関して、同氏は「健康な女性が対象で、もともと認知機能が低下した女性は含まれていないこと、ホルモン補充療法には複数の種類があるが、特定のエストロゲン製剤のみが使われているため全てのホルモン補充療法に当てはまるわけではないことも注意してほしい」と付け加えている。

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kenkohyakka

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