瞳孔開いたまま アディー症候群か
瞳孔が開いたままになり、病院から「原因は分からず、治療法もないので様子を見てください」と言われています。脳外科では「アディー症候群」ではないかと言われました。時々、目が痛くて開けられない状態になります。このまま治療しなくてもよいでしょうか。(70歳女性)
痛み伴うなら別の病気の可能性
清澤 源弘 清澤眼科医院院長(東京都江東区)
瞳の中心にある瞳孔は暗いと大きくなる瞳孔散大(散瞳)となります。光を入れたり、近くの物を見せたりすると収縮するはずなのに、反応しない場合は、瞳孔を調節する神経の病気です。そのような病気に動眼神経まひとアディー緊張性瞳孔があります。
脳梗塞や脳動脈 瘤 、脳腫瘍などで、瞳の焦点を合わせる動眼神経にまひが起き、散瞳したままになります。しかし、動眼神経まひでは、物が二重に見えたり、まぶたが下がったりするので、相談者の症状とは違うようです。
神経が侵されて瞳孔のまひが起きるのがアディー緊張性瞳孔です。さらに膝の 腱 をたたいても爪先が動かない場合、アディー症候群です。副交感神経成分がまひすることで起きますが、その原因は不明です。散瞳以上の悪いことは起きません。80%は片目に起こり、女性が70%を占めます。20~40歳に多く見られます。
通常、この病気は痛みを伴わないので、相談者の場合は、痛みの原因をよく調べる必要があるでしょう。破裂しかけた脳動脈瘤があると痛みを訴えることがあります。また、糖尿病や自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などもありえます。
重要なのは、本当にアディー緊張性瞳孔かどうかという点です。まぶしさを減らすには、薄いピロカルピン点眼が処方されます。