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ホントはどうなの?健康食品・サプリメント

国立健康・栄養研究所

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[ビタミンD]「高齢者の8割が不足」の報告も

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骨の形成を助ける栄養素

 ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあります。水溶性ビタミンは水に溶けやすい性質を持つもので、ビタミンB群及びビタミンC等がこれに当たります。一方、脂溶性ビタミンは水に溶けにくく油に溶けやすいもので、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがこれに当たります。

 ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、小腸におけるカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。ビタミンDはくる病を予防する栄養素として発見されました。すなわち、ビタミンDが不足すると小児ではくる病を成人では骨軟化症を発症します。骨はコラーゲンを土台としてリン酸カルシウムの結晶が沈着(石灰化)して硬い組織が構築されていますが、くる病では、カルシウムとリンが不足するため石灰化が起こらず、軟らかい骨になってしまうのが特徴です。

 これまでにD2~D7の6種類のビタミンDが発見されていますが、哺乳動物で活性を示すのはビタミンD2とD3です。ビタミンD2は、干ししいたけやきくらげ等の植物性食品に多く含まれており、ビタミンD3はサケやサンマ等の動物性食品に多く含まれています。また、ビタミンD3は、皮膚に存在するプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)に紫外線があたることで合成されます。

活性型ビタミンDとは

 ビタミンDは肝臓と腎臓で水酸化されて、活性型ビタミンDになります。これはビタミンDが肝臓と腎臓で化学変化して、より活性の強いかたちになったものといえます。活性型ビタミンDの合成は、生体の必要性に応じて調節されています。すなわち、血中のカルシウム濃度が下がったときは、直ちに副甲状腺ホルモンが分泌されて腎臓での活性型ビタミンDの合成が高まります。

 その結果、活性型ビタミンDは、小腸からのカルシウムの吸収を促すとともに、副甲状腺ホルモンと共同で腎臓からのカルシウムの再吸収を高め、さらに骨からカルシウムを溶かして血中のカルシウム濃度が一定になるように働きます。なお、ビタミンDの栄養状態を示す指標としては、血中の25ヒドロキシビタミンD濃度が適用されています。

カルシウムの代謝を正常に保つ役割

 ビタミンDの主な役割は、生体のカルシウムの代謝を正常に保つことです。すなわち、活性型ビタミンDは、通常は小腸におけるカルシウムやリンの吸収を助け、腎臓におけるこれらのミネラルの再吸収を促進して血中のカルシウムやリンの濃度を一定に保っています。結果的に、骨へのカルシウムとリンの沈着を促し、骨の形成と成長が亢進こうしんします。一方、血中のカルシウム濃度が低下したときには、副甲状腺ホルモンと共同して骨からカルシウムを溶かし、血中のカルシウム濃度を高めます。血中のカルシウム濃度がもとに戻ると、骨を壊す細胞の働きを抑えるカルシトニンというホルモンが甲状腺から分泌されて、骨からカルシウムが溶けるのを抑えるように調節されています。

 すなわち、骨においては、ビタミンDの直接作用は骨を溶かすことであり、間接作用としてカルシウムを介して骨の形成を助けます。この仕組みに関わっているのが、副甲状腺ホルモンとカルシトニンです。活性型ビタミンDは、血液を介して小腸や腎臓及び骨といった標的器官でその作用を発揮することから、ビタミンというよりはむしろホルモンの定義にあてはまるものです。

大腸がん、インフルエンザ予防効果の報告も

 ビタミンDはカルシウム代謝調節作用の他に、様々な作用を持っています。活性型ビタミンDは標的となる細胞に存在するビタミンD受容体を介してその作用を発揮しますが、受容体は皮膚、免疫細胞、白血病細胞等にも存在しています。

 特に注目されるのは、活性型ビタミンDがある特定の細胞の増殖を抑え、分化を促進する作用です。試験管内の試験では、活性型ビタミンDは白血病細胞の増殖を抑え、正常な白血球への分化を促すことが報告されています。その他、実際の治療に使われているのが乾癬かんせんという皮膚の病気で、活性型ビタミンDを皮膚に塗布することで、皮膚の細胞の異常な増殖が抑えられ、さらに免疫作用が調節されて治癒に至ります。また、最近の報告では、ビタミンDの大腸がんに対する予防効果やインフルエンザへの感染に対する予防効果等が報告されています。しかし、これらの作用については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要です。

高齢者は不足しがち、適度な日光浴が大切

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日当たりのビタミンDの摂取目安量として、成人では5.5μg、成長期では4.5~6μg、 0~12か月の乳幼児では5μgが推奨されています。2013年の国民健康・栄養調査におけるビタミンDの摂取量は、男性で平均8.1μg/日、女性で平均6.9μg/日摂取ですが、高齢者では日光に当たる時間が短かったり、活性型ビタミンDの合成が十分でなかったりして、ビタミンDが不足しがちです。

 高齢者施設の入居者を対象とした調査では、ビタミンDが不足している割合は80%以上であったということです。ビタミンDが欠乏すると小児ではくる病、成人では骨軟化症になることが知られていますが、一方、欠乏まで至らなくとも、不足気味の状態では血中カルシウム濃度が下がり、その刺激で副甲状腺ホルモンが分泌され、この状態が長く続くと骨の破壊が起こり骨粗しょう症になります。したがって、特に高齢者では、食事からの摂取と1日に15分程度の適度な日光浴でビタミンDが不足しがちにならないようにすることが大切です。日焼けを気にするあまり、服装や化粧で皮膚の全てを覆うのは得策ではありません。

体内に蓄積しやすく、過剰摂取に注意

 ビタミンDが不足しがちな場合は、ビタミンDが強化された栄養機能食品やサプリメントからの摂取も可能です。ただし、ビタミンDは脂溶性なので、尿中に排泄はいせつされにくく、生体内の脂肪組織や肝臓に蓄積しやすいことから、過剰摂取には注意が必要です。ビタミンDの過剰摂取により、骨からカルシウムとリンが大量に溶出するため、血中のカルシウム濃度が高まり、腎臓や筋肉へ沈着して石灰化を引き起こします。腎臓にカルシウムが沈着すると腎結石に、また全身的症状としてミルクアルカリ症候群を発症します。ミルクアルカリ症候群は、吐き気や食欲不振、体重が減少して体調不良に陥るものです。ビタミンDをサプリメントから摂取する場合は、摂取目安量を守ることが大切です。

 

 ビタミンDについて、もっと詳しく知りたい方は、国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報サイトを参照してみてください。

 

(国立健康・栄養研究所 石見 佳子)

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