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がん診療の誤解を解く 腫瘍内科医Dr.勝俣の視点

医療・健康・介護のコラム

正しい免疫療法のすすめ(上)

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インターネットのがん情報は信頼性が低い

 そもそも、インターネットの情報は、規制が緩いので、掲載された情報の信頼性が低い。インターネットのがん情報は、半分以上が信頼できない情報であるという報告があります(4)。

 図を見てください。
 医学情報の信頼レベルを医学研究の内容からランク付けしたものです。

 これを見ると、症例報告は、レベル5の情報であり、信頼性は最も低いということになります。

 症例報告も大事ではあるのですが、これだけで有効性は証明できません。

 多くの患者さんで再現性が確かめられなければなりませんし、他の治療法と厳密に比較検討した結果でなければ信頼性は乏しくなるということです。 

正しい免疫療法のすすめ(前)

 体験談を載せるということは、わかりやすいことではありますが、医学的効果を誤って伝えることにもなります。

 医療情報は、患者さんの命にもかかわることになりますので、医療広告はかなり厳しく規制がなされていて、体験談はもちろん、効能効果もうたってはいけないことになっています。

 しかし、インターネットの医療情報に関しては、医療広告規制がほとんど行われていないのが現状です。

 一部のクリニックで、インターネット上でかなり過剰に治療効果を広告した例が見られますので、注意が必要です。

 インターネットで体験談やよく効いた症例ばかりが掲載されているようなクリニックは、信用できないと言ってよいです。

 がん患者さんは、
 「少しでも効果がある可能性があるのなら」
 と、何でも試してみようとします。

 ましてや、医師がやっているのならと、簡単に信じてしまいますので、困ったものです。

 情報化社会となり、スマホでも簡単に情報が見られる時代です。

 インターネットのがん情報はもう少し規制をしてほしいと思っています。

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katsumata

勝俣範之(かつまた・のりゆき)

 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授

 1963年、山梨県生まれ。88年、富山医科薬科大卒。92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後、同センター専門修練医、第一領域外来部乳腺科医員を経て、2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年ハーバード大学公衆衛生院留学。10年、独立行政法人国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科外来医長。2011年より現職。近著に『医療否定本の?』(扶桑社)がある。専門は腫瘍内科学、婦人科がん化学療法、がん支持療法、がんサバイバーケア。がん薬物療法専門医。

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4件 のコメント

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苦言

匿名

告知から治療方針説明までの、医療者の問題もあるのでは。向き合ってくれなかったと感じて、免疫療法に走ったような。 そもそも根拠ない健康に関する記事...

告知から治療方針説明までの、医療者の問題もあるのでは。向き合ってくれなかったと感じて、免疫療法に走ったような。
そもそも根拠ない健康に関する記事に乗って集団で踊るのが当たり前で過ごした人達、躍らせるビジネスのおしゃれファッション雑誌の人達も大概ですがね。

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正しい情報の見極め方………

いのちゃん

まさに、私もネットの情報に翻弄されてた人間のうちの1人です(笑)母がガンになり、藁をも掴む思いでガンの事を調べていたら、やたら色んなクリニックの...

まさに、私もネットの情報に翻弄されてた人間のうちの1人です(笑)母がガンになり、藁をも掴む思いでガンの事を調べていたら、やたら色んなクリニックのガン治療の広告が流れてくるようになりました。標準治療でどうしようも無いと言われれば、なんとかして助けたい気持ちでいっぱいになります。効果が無くて無くなっても誰も責任を取ってくれません。これからは鵜呑みにせず気を付けます。

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自由診療の規制は可能か

病疲れ

大変興味深く拝読させて頂きました。ありがとうございました。 自動車にしろ、電気製品にしろ、政府の規制があり、それに合格したものだけが販売されると...

大変興味深く拝読させて頂きました。ありがとうございました。
自動車にしろ、電気製品にしろ、政府の規制があり、それに合格したものだけが販売されるというふうに理解していますが、こと、医療や食品など、健康に係ることに関しては、まやかしの部分が多いような気がします。ちゃんと動かない車は販売できないでしょうし、音のならない音響システムは売れないでしょうし、何もうつらないTVも買う人などいないでしょう。
医療に比べたら、自動車産業など、とても良心的に思えます。
全ては金なんですかね。

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