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泌尿器科医・小堀善友の新オトコのコト

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ウシの世界にも不妊症?

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ウシの世界にも不妊症?

 前回に続きウシの話をしましょう。

 近年、不妊症が増えているというニュースを聞かれる方も多いでしょう。実際、不妊症患者さんは増えており、体外受精や顕微授精を用いて生まれる子供は増加傾向です。ただし、これはヒトの世界だけの話ではなさそうです。

年々減少する受胎率

 畜産で繁殖させられているウシは、自然交配で繁殖しているわけではありません。実は、ウシの繁殖は少数の優良種雄牛(エリートの雄牛)の凍結保存精子を用いた人工授精法によって実施されています。繁殖は人によって管理されているのです。

 そのため、家畜の精子凍結はとても研究が進んでいます。オス牛の繁殖能力は「精子の受精能+耐凍能」によって決定してくるからです。

 その牛の受胎率(人工授精をしたウシのうち妊娠したウシの割合)が、年々減少してきていることがわかっています。平成元年では66.4%であったのが、25年で徐々に低下してきており、2014(平成26)年で50.8%にまで低下してきています。不妊症原因の解明のため、どのような精子のたんぱく質が凍結や受精能に関連しているかの研究が進んできています。同様の研究は、ヒトにも応用されています。

 私が疑問に思ったのは、なぜウシの世界にも不妊症が進んできているのか?ということです。

 例えば、ヒトの世界における不妊症の原因としては、以下のものが挙げられます。

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晩婚化、肥満…ウシも同じ

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 では、牛の世界ではどうなのでしょうか。ウシの世界では、晩婚化もないでしょうし、畜産用の小屋も 綺麗(きれい) になってきていれば、ストレスも減っているのではないかと考えてしまったのです。

 しかし、なんとウシの世界でも晩婚化(?)が進んでいるそうです。

 というのも、近年では出産させる雌ウシの月齢が遅くなっているものが増えてきているとか。また、ウシも大型化しており、ヒトと同じように肥満の問題があり、それが不妊症の原因になっているのではないか、と先日のアンドロロジー学会という男性学を研究する学会で議論されていました。

 明確な原因はまだわかりませんが、不妊症はヒトの世界だけではないというのが驚きでした。おいしい牛乳とお肉が食べられるためにも、ウシにも不妊症を克服してほしいものです。

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小堀善友(こぼり・よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から16年3月まで米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。ホームページは「Dr.小堀の男の妊活ガイド」。略歴の詳細はこちら

主な著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。

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