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危険な不整脈<下>心房細動から身を守る方法

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 不整脈の中でも治療と管理が必要な心房細動。前回に引き続き、BS日テレ「深層NEWS」に出演した心臓血管研究所所長の山下武志さんの解説をお送りする。今回は、心房細動になりやすい人について、そして予防法や、カテーテルアブレーションなど治療法について。

(構成 読売新聞専門委員・東一眞)

◆心房細動になりやすい人

危険な不整脈<下>心房細動から身を守る方法

図1 BS日テレ「深層NEWS」より

 高血圧の人はだいたい高血圧でない人に比べて1.5倍、心房細動になりやすい。糖尿病の人も1.5倍なりやすい。心不全の人は5倍なりやすい。だから、心房細動だけ持っているのではなく、そのほかに原因があって心房細動になっている人が結構多いのです。

 また一般的に高齢者がなりやすい。年齢が10歳上がるごとに2倍ずつ確率が上がります。60歳より70歳は2倍、70歳より80歳は2倍なりやすい。高齢化社会になりましたから、高齢者の心房細動が激増しています。

 肥満があると心房細動になりやすい。また高身長の人の方がなりやすい。心臓が大きいと心房細動になりやすいんです。太っている人は心臓に負担がかかりやすく、大きくなりやすい。身長が高い人はそもそも心臓が大きいのでなりやすい。男性の方が女性よりも一般に身長が高いのでなりやすい。

 血圧は低ければ低いほど、心房細動になりにくくなりますので、高血圧の人は、きちんとした血圧治療を受けることで心房細動の予防になります。

◆心房細動の見つけ方は

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図2 BS日テレ「深層NEWS」より

 心房細動の人は、無症状の人が多いのです。心臓血管研究所付属病院を受診して、心房細動が見つかった人ですら約4割が無症状。検診していない人を含めると、心房細動の人のおそらく半分ぐらいは症状がないと思います。

 若い人は症状が多いのです。年齢が行けば行くほど、症状がなくなってくるのですね。病気はなんでも高齢者ほど症状が少なくなります。若年者の方が敏感だからですね。高齢者の方が鈍感になっていくので、あっても気付かない。

 人間ドックで見つからない人もいます。心房細動は、基本的に正常な規則性のあるものから突然発症するのではなく、まず初めに短い心房細動が起きるのです。「発作性心房細動」といいますが、数時間で正常に戻る。また発作的に心房細動が起きて、また数時間後に戻る。繰り返しているうちに、持続時間や頻度が上がり、「慢性心房細動」になる。人間ドックや健康診断で分かるのは、慢性心房細動だけです。発作性が始まってから、慢性に移行するまでに、だいたい10年前後かかります。

 心房細動は心臓の加齢が大きな原因です。皮膚も、赤ちゃん→30歳代→40歳代→60歳代と、だんだん変わってくるように、心臓も変わってきます。その結果、心房細動が生じるのです。

 本当の最終的な診断は、心電図をとって不整脈があるかないか、あるいは24時間心電図をとってあるかないかという診断方法にならざるを得ない。ただ、病院に行くきっかけは、自覚症状か不整脈しかありません。自覚症状は非常に軽いこともあります。いつもと違うけれど、少し息切れするなとか、階段を上がっていて「いつもとちょっと違う」という時は、脈をとってください。規則的だったら心配はいらない。脈が飛んでいて、なんだか規則性が分からないなという時は、心房細動発作という可能性があるので、病院へ行って心電図をとってもらうべきです。

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