「血管平滑筋腫」手の指に再発か
昨年4月に右ひざの「血管平滑筋腫」を切除してもらい、痛みから解放されました。しかし、最近、右手親指に小さいしこりができ、痛みます。また同じものができたのではと心配です。血管平滑筋腫について教えてください。(59歳女性)
多発まれ 他の良性腫瘍の可能性
伊東 慶悟 東京慈恵医科大学 皮膚科講師(東京都港区)
血管平滑筋腫とは、血管の壁をつくる平滑筋が増殖した良性腫瘍です。成人の腕や脚にでき、特に脚のひざより下によく現れ、痛みがあることが特徴です。皮膚に近い場所の静脈の壁から発生するため、皮膚の下に小さい境目のはっきりした結節を形成します。2センチを超える大型のものはまれで単発例がほとんどです。
診断は、皮膚の下の痛い腫瘍という臨床所見から疑いを持ち、エコーやコンピューター断層撮影法(CT)などの検査を行います。切除した腫瘍の組織を調べて診断が確定します。
治療は、局所麻酔で腫瘍のみを切除します。日帰りでの手術が可能です。取り残しがなければ、切除後の再発はありません。
質問者の場合、右ひざの血管平滑筋腫は完治していると考えてよいでしょう。右手親指のしこりについてですが、血管平滑筋腫は多発することはまれで、手の指にできることもあまりありません。推測ですが、他の良性腫瘍の可能性があります。例えば、爪の下には「グロームス腫瘍」という血管平滑筋腫の仲間の腫瘍がよくできます。この腫瘍も痛いことで有名です。「神経 鞘腫 」や「エクリンらせん腺腫」も疑われます。関節と関係したものではガングリオンがあります。
皮膚科で画像検査を受けて診断をつけることをお勧めします。切除が必要で、関節と関連がある場合、整形外科や形成外科に手術を依頼することもあります。