脳脊髄液減少症
事故で顔打ってから頭痛、倦怠感
3年前に交通事故で顔を打ち、その半年後から、頭痛、 倦怠 感、頭がドクドク鳴る症状に悩まされ、夜も眠れません。検査では異常が見当たらないようですが、脳脊髄液減少症を疑っています。専門の医療機関にかかった方がいいでしょうか。(68歳女性)
脳脊髄液減少症か まず診断を
篠永 正道 国際医療福祉大学 熱海病院脳神経外科教授(静岡県熱海市)
比較的軽度の交通外傷後には長期間、頭や首の痛み、めまい、視覚異常、倦怠感、不眠など、多様な症状が続く患者さんが少なくありません。結論的には、相談者には脳脊髄液減少症の可能性があり、きちんと診断できる医師に診てもらうことをお勧めします。
以前は、外傷後うつ、神経症、自律神経失調などと診断されていましたが、最近の研究で、外傷が原因で脳脊髄液が脊椎部分から漏出し、慢性的に脳脊髄液が減ることが、様々な症状をもたらす原因の一つだと分かってきました。起きていると症状が悪化し、横になると改善するのが特徴ですが、慢性期は体位による症状変化は少ないです。
通常のCT(コンピューター断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像装置)で脳脊髄液減少症と診断するのは困難です。造影剤を静脈注射して行うMRIなら、脳脊髄液の減少の程度を知ることができます。また放射性同位元素やヨード造影剤を脊髄液に注入する「脳槽シンチ」「CTミエロ」という方法で、脳脊髄液の漏れを診断できます。
自分の血液を脊髄硬膜外に注入する「ブラッドパッチ治療」で脳脊髄液の漏れを止めれば、症状の改善が期待できます。今年4月からブラッドパッチ治療に保険が利くようになりました。どの病院でも診療できるわけではないので、専門的な治療が行える医療機関を探して、受診してください。