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ネット養子縁組に賛否…「効率的で子供の命救える」「慎重さ足りない」

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ネット養子縁組に賛否…「効率的で子供の命救える」「慎重さ足りない」

 養子縁組のあっせん事業を行う大阪市のNPO法人が、赤ちゃんを育てられない親と、養子縁組を希望する人をインターネット上で引き合わせるシステムを始めた。「効率的で、子供の命をより多く救うことができる」と強調する同NPOに対し、「養父母選びに慎重さが足りない」などの批判の声が上がり、論議を呼んでいる。

 同市浪速区のNPO法人「全国おやこ福祉支援センター」。阪口源太代表理事(39)によると、スタッフは看護師ら2人で、2014年4月以降、「インターネット赤ちゃんポスト」と銘打ち、メールや電話で希望者を募集。養父母の希望者には、原則1回の家庭訪問で審査してきた。約2年で約20件の養子縁組を成立させたという。

 是非が特に議論になっているのは、同NPOが今年4月に導入した「赤ちゃんマッチング コウノトリ」のシステムだ。

 このシステムでは、養父母の希望者が職業や収入、育児支援者の有無などを入力すると、点数化され、スコア順に一覧表示される。実の親がこれを閲覧してマッチング相手を選ぶ。養父母になってもらうかどうかは従来通り同NPOが審査するが、手続きの多くをネット上で済ませられる。

 養父母は200万円を上限に出産費用を負担するほか、同NPOにスタッフの交通費などの諸経費として50万円の事務費を支払う。

 養父母希望の夫婦約60組、実母5人が会員登録しており、これまでに3件のあっせんが成立した。7月にはスマートフォン用のアプリも導入する予定という。

 こうした仲介方法や請求額に違法性はない。ただ、同NPOはネット上で、出産費用の件を「産んでくれたら最大200万円相当の援助」との表現でPRしており、大阪市は「200万円もらえるとの誤解を招く」として過去7回、削除するよう指導しているが、同NPOは応じていない。

■批判

 養子縁組の普及に取り組んできた団体や専門家らの多くは、同NPOの手法に批判的だ。

 あっせん事業を行う一般社団法人「命をつなぐゆりかご」(埼玉県)の大羽賀秀夫代表理事(65)は、約20年の経験から「縁組は子供の人生を左右する。養父母に最も大事なのは『人柄』。それを見極めるには時間も手間もかかる。年収や職業を点数化して推し量れるものではない。失敗したら取り返しがつかない」と言う。

 同法人は希望者に講座を受けさせ、「今後の人生になぜ子供が必要か」を文章にしてもらったうえで4時間以上の面談も行う。毎年二百数十組の希望があるが、最終的には半数ほどに絞られるという。大羽賀代表理事は「あっせんの効率性ばかり優先し、『最大200万円の援助』の文言で注目を集めるやり方は、安易で疑問を感じる」と話す。

■感謝の声も

 これに対し、阪口代表理事は「人工中絶や虐待で失われる命を一人でも多く救いたいと考え、迅速に引き合わせてきた」と反論する。

 利用者からは感謝の声もある。神奈川県内の女性(46)は、20年続けてきた不妊治療を2年前にあきらめ、養子を探し始めたが、地元の児童相談所から「新生児はあっせんしていない」と断られた。だが、同NPOに相談すると、2~3か月で新生児を紹介され、特別養子縁組を結んだ。女性は「今はとても幸せ」と話す。

 阪口代表理事は、新たに始めたネット上のシステムについても「人だけの力では限界があり、ITによる効率化が必要だ。養父母希望者の収入や資産なども分析しており、1回の家庭訪問で適性は見極められる。仲介に100%の成功はないが、リスクを低減させるため、客観的なデータを点数化している」と説明する。

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