虹色百話~性的マイノリティーへの招待
医療・健康・介護のコラム
第47話 オーランド銃乱射事件は性的マイノリティーへの憎悪犯罪
それにしても、このように悲惨な状況にありながら一抹の希望を抱かせてくれるのは、米国のLGBTコミュニティーから、悲しみや怒りをムスリムへ向けるのはやめよう、事件を利用してムスリム排除をいう 輩 とは固く一線を画す、などの声が上がっていることです。また、ムスリムの人も、犯人はたまたまイスラム教徒を名乗っているがイスラム教はこんな犯罪を許さないと、キッパリとした態度を示していること。むしろ負傷者のための献血を呼びかけ、多くの人が列をなしているといいます。
プライド月間の皮肉
ところで、この事件が6月のこの時期に起こったことも、巡り合わせとはいえ皮肉です。
6月はLGBTのプライドマンスとして、北半球の主要都市ではプライドパレードなどさまざまなイベントが開催される時期です(南半球のたとえばシドニー(オーストラリア)では、2~3月にマルディグラ(謝肉祭最終日)を祝うパレードとして開催されます)。
プライドマンスは、1969年6月28日、ニューヨークのバー「ストーン・ウォール・イン」で起こった暴動に由来します。
この日、いつもの嫌がらせのような警察の捜査に対し、店に居合わせた同性愛者や女装者、現在ならトランスジェンダーというべき人たちが応戦、暴徒化して、13人の逮捕者と警官を含む多数の負傷者を出す事件が勃発。翌日から伝え聞いた人びとが集まり警察との小競り合いが続き、7月2日には1000人の群衆が警察の特殊部隊に徹底的に攻撃され、ようやく鎮静化しました。
しかし、この事件を契機に1か月後にはニューヨークにゲイ解放戦線が結成され、米国内主要都市や大学に支部ができました。翌年6月の最終日曜には事件を記念するパレードが呼びかけられ、5000人が参加。こうしてストーン・ウォールは現代ゲイ・リベレーション運動の開始点となったのです。
その6月を記念し、いまや同性愛にとどまらず人間のセクシュアリティーの多様性を祝福し、誇りとするプライドマンスが世界で祝われています。昨年、米連邦最高裁が同性婚の合憲を判決したのも6月26日(金)。これ自体は米国の年度末に合わせて滞貨一掃とばかりに出た判決の一つだそうですが、その直後のプライドパレードへのなによりの祝福となりました。というか、そういうスケジューリングに配慮の妙が見え隠れします。
一方、「パルス」でも6月の週末をさまざまなイベントで盛り上げていたなかで起こった今回の惨劇は、プライドマンスの最中だけに、あまりにもきつい皮肉というほかはありません。今年の各地のプライドパレードは、深い祈りに包まれることでしょう。
追悼の路上から
世界の各地で死者への追悼と、憎悪を乗り越えるための祈りがささげられています。東京でも14日夜8時、ゲイタウンとしても知られる新宿2丁目に追悼と祈りのために人びとが集まりました。行き合わせた人びとが「あ、あの事件の」と歩みをとめ、カメラに収めていました。日本からも追悼と祈りをささげる人びとの思いが、世界にシェアされていくことでしょう。
14日夜9時ごろ、近隣の公園で集合後、路上を行進してきた外国人コミュニティの人々と合流し、集会を行ないました。
東京から亡くなった方への哀悼と、性的マイノリティーの一員として連帯の誠を捧げます。
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追伸
まみ
内面化されたホモフォビア、で思い出したのですが、先日とある週刊誌に、「せっかく人事がLGBTフレンドリーにしてるのに、当事者が乗ってこないため、...
内面化されたホモフォビア、で思い出したのですが、先日とある週刊誌に、「せっかく人事がLGBTフレンドリーにしてるのに、当事者が乗ってこないため、取り組む側のモチベーションが下がり、取り組みが休業状態になる」と、LGBTサイドを批判する記事が載っていました。
苛立つのはわかりますが、なぜこのような動きになかなか乗ってこないのか、そこの心情をすくいとる記事が載らなかったのは非常に残念で、当事者目線にたった上で批評するような記事も読みたいなと思いました。
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リクエスト
まみ
先日の大学のLGBTサークルの記事、興味深く読ませて頂きました。 ところで、中学生や高校生が気軽に集まれるスペースがあるとか、40過ぎて、今から...
先日の大学のLGBTサークルの記事、興味深く読ませて頂きました。
ところで、中学生や高校生が気軽に集まれるスペースがあるとか、40過ぎて、今からデビューしたいと考えてるひとはどうすれば良いか、僻地から考えるゲイライフとか、読みたいです。
オーランドでの痛ましい事件、どうもストレートの人に「内面化されたホモフォビア」の意味が伝わっていない気がします、そういう記事も是非。
あとは、ゲイのモテ筋、その分類と歴史とか笑
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パリとベルリン
カイカタ
エッフェル塔とブランデンブルク門が虹色にライトアップされたとか、それに比べ日本はおとなしい。
エッフェル塔とブランデンブルク門が虹色にライトアップされたとか、それに比べ日本はおとなしい。
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