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自分の型知り、乳がん検診…マンモグラフィー弱点も

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超音波併用で発見率1.5倍

自分の型知り、乳がん検診…マンモグラフィー弱点も

乳房のマンモグラフィー画像。《1》高濃度 《2》不均一高濃度 《3》乳腺散在 《4》脂肪性 《1》高濃度は、密度が濃い乳腺組織により乳房全体が白く写し出され、異常が見つけにくい。《1》と《2》の不均一高濃度を合わせて、異常が見えにくいタイプに判定されることが多い。《4》に近づくほど異常は見えやすくなる。写真は戸崎光宏さん提供

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 自治体が行う乳がん検診のマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)で、異常が見えにくい「高濃度乳腺」について、読売新聞の調査に答えた自治体の7割で受診者に知らせていないことがわかった。

 検診で行われるマンモグラフィー、超音波検査、視触診には、それぞれに利点と弱点がある。受診者は年齢や乳房のタイプごとに適した検査を選んで受けることが大切だ。

 日本女性の乳がん発症は、40~50歳代がピーク。こうした実態を踏まえ、乳がん検診は、40歳以上の女性が2年に1度受けるよう、国によって推奨されている。

 自治体検診に関する国の指針は、マンモグラフィーのみを実施項目に定めている。手に触れない微小ながんや、がんとの関連を否定できないカルシウム沈着(石灰化)の発見に威力を発揮する。受診によって死亡率を減らせることが判明している唯一の検診法だ。

 ただし、マンモグラフィーには弱点もある。

 乳房は〈1〉高濃度〈2〉不均一高濃度〈3〉乳腺散在〈4〉脂肪性の4タイプがあり、順番に乳腺組織の密度が薄くなる。乳腺の密度が濃いタイプの乳房を持つ人は、乳房全体が白く写ってしまうため、マンモグラフィー単独では、異常の有無を完全に判定するのが難しい。

 専門家によって見解は分かれるが、「不均一高濃度」と「高濃度」を合わせたマンモグラフィーが向かないタイプは、日本女性の5~8割に上ると指摘されている。

 相良病院付属ブレストセンター(鹿児島市)放射線科の戸崎光宏部長は「乳がんと診断された患者のなかで、検診でマンモグラフィーを受けていたのに見落とされたと思われる人が、20人に1人程度いる印象だ」と話す。

 マンモグラフィーの弱点をカバーするのが超音波検査だ。乳腺の組織が白っぽく写り、がんのしこりを黒く写し出すため、乳腺密度が濃い乳房にも適している。放射線 被曝ひばく もない。マンモグラフィーとの併用で40歳代の早期がんの発見率が1.5倍に高まることが国の大規模研究で分かっている。

 一部自治体は、40歳代以降の検診に超音波を組み込み、両方を受けられる制度を整えている。30歳代にも乳がん検診を行う自治体が増えてきたが、若年層は乳腺が発達していてマンモグラフィーに不向きなため、超音波で対応している。

 しかし、超音波は、死亡率の減少効果がまだ明らかではなく、国が推奨する検診法になっていない。形や大きさの違う乳房に手動の機器を当て、撮影部位をその場で判断する手法のため、技師の技量に左右される。がんの疑いを多く見つけてしまい、精密検査で異常がないとわかるケースが増え、受診者の心身に負担をかけることがあるとの指摘もある。

 厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」では、自治体の検診に超音波を導入することも視野に入れ、議論が行われてきた。関係学会などでつくるNPO法人「日本乳がん検診精度管理中央機構」も超音波の導入を見据え、既に3000人の技師への養成講習を済ませているという。

 マンモグラフィーが万能ではないことを多くの受診者は知らない。一方で、40歳代以降の検診に超音波が導入されるのは、まだ先になりそうだ。この間、受診者には、まず自分の乳房のタイプを知ることから始めてほしい。自治体の多くは、マンモグラフィーが向かない人に、その事実を伝えていない。国と自治体は、受診者の目線に立ち、正しい情報提供の方法を早急に検討すべきだ。

 読売新聞が全国の政令指定都市、県庁所在地など、主要な131自治体に乳がん検診の実態について調査を行ったところ、回答の7割が、高濃度乳腺について受診者に注意を促す仕組みがないと答えた。電話や郵送による通知や、超音波検診の併用で、対応している自治体もあった。

自治体の検診メニュー調べよう

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 受診者は乳がん検診をどう受ければいいだろうか。

 まずがん検診には、自治体が行う検診と、人間ドックなどの任意型検診がある。自治体の検診は、国や自治体が費用を負担し、受診者は無料または一部負担で済む。早期発見のため、個人が選んで受ける任意型は1万円程度かかる。

 検診対象ではない20歳代は、乳房のしこりや分泌物など、気になる症状があった時に、乳腺専門のクリニックなどを受診すればいい。多くの場合は良性と診断される。

 多くの自治体の乳がん検診は40歳から。ただ近年、住民の要望を受け、30歳代への検診として超音波検査だけを提供する自治体も増えてきた。心配な人は、居住する市町村の検診メニューを調べてみよう。該当する検診がない場合は、任意型検診を自費で受けることになる。

 40歳以上にもマンモグラフィーに加え、超音波を実施する自治体が一部出ている。マンモグラフィーに異常が見えにくいタイプがあることは事実だが、超音波だけでは検診として十分ではない。マンモグラフィーで、自分の乳房が「高濃度」なのか「脂肪性」なのかを知ることが大切だ。その上で超音波を受けるかどうか決める。

 マンモグラフィーが向かない「高濃度乳腺」とわかった場合、結果通知の際に教えてくれる自治体が一部ある。結果票に「高濃度乳腺で見えにくいタイプ」「マンモグラフィーだけでは判定できない」などの記載があれば、自治体の担当課の保健師にどうすればよいか尋ねてみよう。

 また、自治体が指定する医療機関で受ける検診では、医師が結果を説明してくれる場合がある。そうした機会に、自分の乳房のタイプを聞いてみよう。医師の手元には、受診者の乳腺密度の程度がわかるデータがそろっている。見えにくいタイプであることがわかったら、超音波を受けた方がいいか、医師に相談する。超音波を受ける場合は受診者が費用を支払う必要があることが多い。

 自治体の検診結果で乳房のタイプがわからないならば、一度、乳腺専門クリニックなどで任意型検診を受け、どう対処すればよいか医師に詳しく教えてもらうことも選択肢に入れたい。異常が見えやすい「脂肪性」とわかれば、以後は2年に1度の自治体検診を継続して受ける。乳がんの早期発見には、検診のほかに、定期的に乳房にしこりがないか自分の手でチェックする方法も有効だ。入浴の際などに、しこりや分泌物がないか、まめに確認することを心がけたい。

 (医療部・佐々木栄)

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