ボクシング元世界チャンピオン 竹原慎二さん
一病息災
[ボクシング元世界チャンピオン 竹原慎二さん]膀胱がん(5)全摘手術にも「絶対に勝つ」
自覚症状を感じてから1年後の2014年1月、専門医の精密検査を受けた。
「何人かの医者にも診てもらい、『早いと1年以内……』と言われたこともあった。42歳で死ぬんだ、と毎晩泣きました」
抗がん剤治療の副作用で髪の毛が抜けた。11キロもやせた。医師から、膀胱の全摘出と、尿をためておく袋(ストーマ用装具)の装着を告げられた。
「ストーマに尿代わりの300ccの水を入れて腰につけてみた。泣きそうになった。これからずっとつけるのは、耐えられないと思いました」
夫人は「あなたを必ず治してあげる」と情報集めに懸命だった。専門書を何冊も読み、重要なことを記したノートの表紙には「無知は罪」と書いた。がんに良いと言われるものは、全国から取り寄せたり、料理したりした。
病院を探し回り、膀胱の全摘は避けられないが、自分の小腸の一部を切り、それで新たな膀胱を作る治療法が見つかった。
「これなら、ストーマがいらないので、希望が出てきた。妻のノートに『俺は世界チャンピオンになった人間だ 絶対に勝つ』と書いて手術に臨みました」
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ボクシング元世界チャンピオン
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