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性とパートナーシップ

yomiDr.記事アーカイブ

触れ合う喜びを取り戻したバツイチ女性(上)DV、セックスレス、そして離婚へ

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 「まだ若すぎる」と女性の両親は反対でしたが、男性の卒業と同時にすぐに結婚。夫の初任地の北海道に一緒に行き、社宅で新婚生活が始まりました。周りは皆、専業主婦の奥さんたちで、念願だった「奥さん生活」のスタートでした。

 「ままごとみたいな新婚生活でしたが、毎日クッキーを焼いたり、パッチワークをしたりして、自分が思い描いていたような家庭生活ができました。あの頃は確かに、幸せだったと思います」

 セックスも若さゆえか、夫が求めてきて、夫が思うように動き、夫の快楽が最優先。「今思えば、自分勝手なセックスでしたけれども、こんなものかなと思っていました。気持ちよくはないので、する度に早く終わらないかなと思っていましたね」

 時代はバブルの頃。大規模な取引話が次々と打ち出され、商社が一番景気のいい時でした。夫は新人でも黒塗りのハイヤーで送り迎えをされ、下請け会社や取引先の接待を受けては、ペコペコされる生活を続けていました。

 「おそらくそこで増長したのでしょう。徐々に、私に対しても態度が横柄になり、『こんな人だったかしら』と思うようになっていきました」

 女性は子供が好きではありませんでしたが、夫は子供好きで「子供は日本の宝だぞ」とことあるごとに言い、2人の子供を強く望んでいました。1年後に妊娠し、男の子を出産。しかし、あれほど子供を望んだはずの夫は、ほとんど育児に関わりませんでした。休日さえ、地元の有力者とつきあうのに忙しく、女性は子供と2人きりで社宅で過ごすばかりでした。

 「慣れない育児で私が疲れ切っているのに、自分の野心優先で、地元の有力者と人脈をつくることに夢中で、何もしてくれませんでした。社宅の時は夫よりも周りの奥さんたちに助けてもらっていたぐらいでした。同じ社宅の奥さんたちが、土日に家族で連れ立ってドライブに出かけるのを横目で見ては、『何で自分だけは置いてけぼりなのだろう』とずっと孤独を感じていました」

 子供が生後7か月になる頃、転勤で東京に戻りました。都内の大きな支店に配属された夫はさらに忙しくなり、妻子にかまう時間は減っていきました。

 そんな日々が積み重なり、育児にへとへとになっていたある日、深夜に帰ってきた夫にセックスを求められ、女性は拒否しました。

 「疲れているから、いや」

 すると、夫は激怒しました。

 それまで、口論になると、理詰めでどこまでも論破しようとする夫に対処するのが面倒で、その場を収めるためにすぐに謝るのが習慣になっていました。しかし、この時ばかりは心が折れて、謝る気になれませんでした。夫はしばらく怒ったままで、口をきいてもらえませんでした。セックスレスの始まりでした。

 その頃、「人は4年で離婚する」ということが書かれた心理学者の本を読み、「これ、私だ!」と思ったのを女性は覚えています。セックスレスになると、夫はさらに横暴になりました。女性が自分のために洋服を買うことは許されず、一度、女性が寝坊をして夫を起こすのが遅れた時は、その後、1か月間生活費を入れてもらえず、独身時代の貯金を切り崩して生活したこともありました。

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岩永直子(いわなが・なおこ)

1973年、山口県生まれ。1998年読売新聞入社。社会部、医療部を経て、2015年5月からヨミドクター担当(医療部兼務)。同年6月から2017年3月まで編集長。

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1件 のコメント

何でも固執すると崩壊が待っている

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日本って式次第を使って風習を重んじて生活していますよね。これだと平均化するのに便利です。恋人時代から婚姻関係を結んでセックスをしてというような感...

日本って式次第を使って風習を重んじて生活していますよね。これだと平均化するのに便利です。恋人時代から婚姻関係を結んでセックスをしてというような感じ。でも海外だと婚姻関係というのはいつでも二人の意思で決めていいので妊娠出産後に結婚というのが多いらしいです。生活する上で順番が人それぞれなので多様性がとれる便利さと同棲中にお互いを知る事もできるというのもあるのでしょう。なにより仕事上で出かけるのにパートナー同伴が多いです。パートナーと紹介されたりワイフと紹介されたりの違いだけです。セックスについてもふたりがいろいろ試してダメな時に専門のビデオ教材や専門家へ行って解決が多いのでしょう。セックスについて相当真面目に話し合えるのが海外での便利さだし、話し合うのですから男女平等となってしまうのでしょう。日本のよさは式次第を使って平均化にする便利さですし、海外では順番はカップルが決めていいという多様性にする便利さ。でも日本式がいいという海外の方もいらっしゃるので、世界が多様性だからと言って日本の今までの文化を全く捨てる事は必要ないと思います。
今回のブログだと自分達で決めるというパターンだと思います。あまり平均的な考えに固執した為に夫婦関係に疲れてしまったのでしょう。
以上は、あくまでブログを読んでみての、わたし個人の考えですけど。

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