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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

出生率1.8の目標 今の少子化対策で現実的?

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娘と野球観戦に行きました。巨人が7連敗を喫した日に虎党デビューです

娘と野球観戦に行きました。巨人が7連敗を喫した日に虎党デビューです

 息子の成長は目覚ましく、最近は物をつかんで遊ぶようになりました。ボールやガラガラで一人で遊んでくれるのはいいですが、私の髪の毛や眼鏡をにぎって離してくれません。そういえば長女の時も髪を後ろに束ねて対策したなあと懐かしく思い出しました。離乳食は遅ればせながら今月から始める予定です。

 さて、先日出生率が少し上がったというニュースがありました。厚生労働省の人口動態統計によれば、2015年の合計特殊出生率は1.46で前年を0.04ポイント上回ったということです。しかし、第二次ベビーブーム世代が生殖年齢から外れてきていることから、生殖年齢の女性は今後急速に減少します。2015年の出生数は過去最低だった前年より2117人増えたものの過去2番目に少ない100万5626人でした。各自治体が少子化対策を強化しているとはいえ、決して楽観視できません。

「2人目の壁」1位は、「経済的な理由」

 政府の当面の出生率の目標を1.8としています。そりゃあ実現出来たらいいでしょうが、この数字は現実的なのでしょうか。元少子化担当大臣の森まさこさんが理事長を務める一般財団法人「1 more Baby応援団」が行った「夫婦の出生意識調査2016( http://www.1morebaby.jp/release/2016/0530.pdf )」によれば、81.1%の夫婦が子どもを2人以上欲しいと答えています。しかし、73.5%が「2人目の壁」が存在すると答えています。その理由としては、84.4%が経済的な理由と答え、昨年の同様の調査と同じ理由が1位となりました。以降、「年齢的な理由」が43.0%、「第一子の子育てで手一杯」が39.1%と続きます。経済的な理由の詳細を尋ねると子どもに満足な生活や教育環境を与えたいということがうかがえたということです。

 母親がフルタイム勤務の場合、2人目の壁は「仕事上の理由」が58.3% で高くなっています。保活のために妊娠時期を意識する(年度の初めの方に産むということだと思われます)と答えたのが全体の30.4%、子どもが一人の家族の58.7%が保活がなければもう一人子どもを持ちたいと答えています。

 2人目の壁を感じている人が多い一方、2人以上子どもがいる夫婦の98.0%が満足しているという回答もありました。2人目の壁については、これまでに言われている理由(経済面、年齢の限界、保育園問題)が改めて浮き彫りになっています。調査に協力した夫婦の多くが2人以上の子どもを望み、実際に2人以上の子どもがいる夫婦は満足しているのだから、生殖年齢の女性が少しでも多いうちに急ピッチでやるべきことを進めていただきたいと思います。

保育や教育の支援が手厚ければ、まだ産みたい

 我が家も2人目の壁を長い間感じていました。特に「第一子の子育てで手一杯」「経済的な理由」というのを壁に感じていたので、この調査結果には非常に共感します。2人目を産んでみて、ものすごく幸せに感じていますが、共働きだけど上の子どもを幼稚園に通わせ、習い事もさせるという教育方針を選択し、さらに赤ちゃんを世話しないといけないので、手間がものすごくかかります。

 理想を言えば3人目も欲しいところですが、これ以上は物理的に不可能だと感じています。もしも幼保一体型の園で、オプションで習い事を保育時間内に付けられ、値段がとてもリーズナブルだったり2人目、3人目が無料だったりしたら産みたいです。

 現状では夢物語ですが、そのくらいの少子化対策をしないと出生率1.8なんて絵に描いた餅だと思うんですけどね。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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10件 のコメント

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少子化は非婚・晩婚が原因

山雀利根

既に子供を持つ夫婦は2番目、3番目には経済が壁になるが、子供ゼロの男女が増えている方が少子化には大きい。彼ら彼女らは必ずしも経済的事情ではないだ...

既に子供を持つ夫婦は2番目、3番目には経済が壁になるが、子供ゼロの男女が増えている方が少子化には大きい。彼ら彼女らは必ずしも経済的事情ではないだろう。余り意味なくそうした生き方を奨励するような風潮に問題があるように感じる。

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3人は理想ですが。。。

かめ

先生のコラム、いつも楽しく読んでいます。 私はアラフォーの3人の子持ちで、現在、3回目の育児休業中です。 努めている会社は、ベンチャー企業ですが...

先生のコラム、いつも楽しく読んでいます。

私はアラフォーの3人の子持ちで、現在、3回目の育児休業中です。
努めている会社は、ベンチャー企業ですが、妊娠・出産・育児に協力的で、大変有り難いです。
地域の子育サロンに行くと、3人子供がいる、という方にたまにお会いしますが、ほとんど専業主婦です。
地方在住ですが、私の暮らす地域では共働き当たり前。
でも、仕事で休みが取れず、子供は一人か二人、という方、多いです。
専業主婦だと、会社という縛りがないから、子供は楽に(?)産めるのかな、とも感じてしまいます。

子供を増やすためには、結婚率を上げる、産休育休を取りやすくする等々、ひろーく見ないといけないのだと、心から思います。

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ワガママではない

きいろいくま

生活水準を変えたくない夫婦がいる。 結婚したくない若者が増えている。 それが問題ではないでしょう? そこに焦点を当てている方々がいてびっくりしま...

生活水準を変えたくない夫婦がいる。
結婚したくない若者が増えている。

それが問題ではないでしょう?
そこに焦点を当てている方々がいてびっくりします。

多種多様な生き方は、守られるべきです。子どもを作ることは人生を変えること。出生率を上げるから人生変えよう!と思える人がどれほどいるのか。(そしてそう思える人の根拠って?)

子どもが複数欲しくても事情で諦める人たちやそもそも一人目すら不妊や様々な事情で作れないという人たちに対し、対策や支援を行うべきというお話じゃないですか。
前述した一見ワガママな理由で結婚ないし出産しない人たちも、結婚出産育児に漠然とした不安があってからのことかもしれませんしね。

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