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体脂肪率測る仕組みは?

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電流の流れやすさで把握

体脂肪率測る仕組みは?

 薄着になる機会が増え、脂肪の付き具合が気になる季節になった。

 内臓の周りに脂肪がたまると、心臓病や動脈硬化など生活習慣病の心配も出てくる。体脂肪計で体脂肪率を知っておく必要がある。どんな仕組みで測定しているのだろうか。

 体脂肪率は、体重に占める脂肪の割合を指す。体内にある脂肪を取り出して重さを量るわけにはいかない。タニタ(東京)主任研究員の西澤美幸さんは、「体脂肪計では、筋肉は電流を通しやすく、脂肪は通しにくいという性質を利用して、脂肪の量を測ります」と話す。

 体脂肪計には乗って測るタイプや握って測るタイプなどがあるが、いずれも測定の際、弱い電流を体に流す。身長と体重が同じ人に同じ電流を流しても、筋肉が少なく脂肪が多い方は電流が通りにくく、流すための圧力(電圧)が大きくなる。この原理を使い、流す電流の値と検出される電圧の値を基に、電流の通りにくさ(電気抵抗値)を算出する。電気抵抗値が大きいほど、同じ体格でも体脂肪率が高くなる。

 ただ、背の高い人は体が大きい分、電流の流れる経路が長くなる。それに伴い、電圧も高くなって電気抵抗値が大きく出てしまう。タニタの場合、エックス線を使った解析装置で老若男女1万人の体脂肪率を詳しく調べたデータを基に、抵抗値を年齢や身長などに応じて補正し、体脂肪率を出す。体脂肪計を初めて使う際、性別や身長、年齢を入力するのはこのためだ。

 体脂肪率の補正の仕方はメーカーごとに異なり、同じ人でも違う数値が出る可能性はある。

 体脂肪率は同じ条件で毎日測定したい。西澤さんによると、夕食前かつ入浴前での測定がいいという。

 「朝は、寝ている間の発汗で、電流を通しやすい水分が失われる分、体脂肪率は高めに出る傾向がある。食後は、電流を通さない物の重さが増えたと体脂肪計が誤って認識しやすくなり、体脂肪率は高めになる」と説明する。一方、入浴して体温が上がると電気抵抗値が小さくなり、体脂肪率が低めに出る。

体脂肪率下げるには…食事面で摂取カロリー減、運動面で消費カロリー増

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 体脂肪率の標準は、性別や年齢によって異なる=表=。同じ30%でも、男性なら肥満だが、女性は標準の範囲内に収まる。

 高めの体脂肪率を引き下げるには、食事面で摂取カロリーを減らし、運動面で消費カロリーを増やすのが有効だ。

 運動として、日本生活習慣病予防協会理事長で医学博士の池田義雄さんは、やや早歩き(分速80メートルほど)のウォーキングを40分、筋トレを10分、体操10分を薦める。体重50キロ・グラム台後半の人で、この場合の消費カロリーは約240キロ・カロリー。ただ、海外の文献などでは運動で1日300キロ・カロリーを消費することが推奨されている。運動を増やしてもいいが、「ご飯を茶わん半分に減らせば、摂取カロリーは80キロ・カロリー減る。こうした方法も組み合わせて」と話す。

 運動習慣のない人は、10分のウォーキングから始め、慣れてくれば歩く時間や他の運動を増やす形でいい。「細切れの運動でも、合算した時間分と同等の効果があります」と池田さんは助言する。

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