医療部発
医療・健康・介護のコラム
「その程度では障害年金はもらえないよ」と言われても(2)受給の仕組み、医師が詳しいわけではない
「あなたの状態では受給は無理」などというのは、年金事務所の相談員に限りません。
障害年金の請求には主治医の診断書が必要ですが、その診断書をお願いする段階で主治医に「受給は難しいのでは」と言われることがあると社会保険労務士から聞いたことがあります。
主治医に「無理」と言われたら、社労士に相談する前にあきらめてしまう患者が多いのではないでしょうか。医師に「難しい」と言われ、社労士が主治医のところに行き、障害年金のことを丁寧に説明したところ、受給にいたるケースもあるというので、医師は慎重に患者に見通しを伝えてほしいと思います。
医療ルネサンス「病気と年金」を読んだという女性から、「障害年金のことを知らない医師がいるということを知ってほしい」というメールをもらいました。
その女性の夫が難病で、手続きに苦労した末に障害年金2級の給付を受けることができたが、その後、病状が進行し、寝たきりになったそうです。
寝たきりというのは、障害年金1級に相当します。しかし更新の時に、新しく代わった主治医に診断書に「病状が安定している」と書かれてしまい、1級を受給する機会を逃したとのこと。次の更新の時に主治医に話そうとしていたところ、夫は亡くなり、年金事務所に相談したが「どうしようもない」という回答だったそうです。
1級と2級では、基礎年金で年に20万円近く違うし、厚生年金ももらっていれば、差はさらに大きくなります。
医師は治療に関しては詳しいけれど、複雑な障害年金について、よく知っているという医師はあまりいません。ここでも「本当にもらえないのか」と考えて、障害年金に詳しい社会保険労務士に一度相談するなどしたほうがいいと思います。
(続く)
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渡辺理雄
2008年12月から医療部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。
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