医療部発
医療・健康・介護のコラム
「その程度では障害年金はもらえないよ」と言われても(1)受給の手続き、大変な負担
医療ルネサンス「患者学 病気と年金」を5回シリーズで掲載しました。病気で仕事や生活に支障が出ると、通常の年金をもらえる年になる前に、障害年金という公的年金がもらえる可能性があります。民間保険に入ったり、貯蓄をしたりして、働けなくなることに備えている人も多いと思いますが、障害年金の請求をして受給が認められれば、収入減の一部を年金でカバーできます。病気で短時間勤務になり収入が減った、ほとんど働けなくなり生活に困ったという人は障害年金が受給できないか考えてみてください。
障害年金が受給するには、3つの要件を満たす必要があります(参考図書『障害年金というチャンス!』三五館)
(1)初診日要件 病気やケガで初めて医療機関を受診した初診日を証明できる。
(2)保険料納付要件 初診日前の一定期間、年金保険料を納めている。
(3)障害状態要件 病気や仕事・生活上の支障が、国が定めた目安にあてはまる。
具体的な障害年金の請求について大筋で説明します。
まず年金事務所などに相談に行きます。そうすると、年金保険料の納付状況がだいたいわかります。初診の医療機関に行き、「受診状況等証明書」を書いてもらいます。また主治医に「診断書」も書いてもらいます。診断書は、障害年金用の診断書が用意されています。「病歴・就労状況等申立書」は、初診から現在にいたる仕事と生活状況を記します。
これら3枚の書類に、住民票などを加えて年金事務所などに提出します。早ければ3か月くらいで決定通知書が届きます。
こう書くと、簡単そうですが、実際の請求は細かいルールを知っていないとできない作業で、個々の患者さんには、大変な負担です。
そもそも障害年金を請求しようというような患者さんは、病気で体調が悪いわけです。年金事務所、初診の病院、主治医がいる病院などを回り、書類作成のお願いをして歩かなくてはなりません。これだけでも挫折する人がいるように思います。
取材で話を聞いた障害年金を受給している患者さんの中には、年金事務所に相談にいった当時、応対された相談員に「あなたの状態では受給は無理」などといわれ、あきらめかけたという人もいました。障害の状態をみて受給の可否を審査するのは、相談員ではなく、日本年金機構に任された認定医です。現在の年金事務所では、そのような門前払いのような応対はないでしょうが、請求する患者側は、相談員の言うことを
(続く)
◇
渡辺理雄
2008年12月から医療部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。