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介護職員の技能に「段位」…官民で認定制度、専門性高める狙い

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介護職員の技能に「段位」…官民で認定制度、専門性高める狙い

 認知症などで手厚い介護が必要な高齢者が増える中、国や民間団体の間で、介護職員の専門性を高める仕組み作りが注目を集めている。

 知識や技術が向上することで、賃金の引き上げにつながることもあり、人手不足対策としての期待感もあるようだ。

 ■ 上司らが評価

 「自信を持って仕事にとり組めるようになりました」と話すのは、東京都練馬区の介護事業所「優っくり村石神井台沼辺」で働く 当宮吉智とうみやよしとも さん(39)。昨年5月、「介護プロフェッショナルキャリア段位」を取得した。

 この制度は介護職員の技量を客観的に評価し、やりがいや処遇改善につなげるため、2012年に内閣府が創設し、現在は厚生労働省が所管している。現在は、職員の技能に応じて、4段階の段位を与えている。同じ職場で働き、一定の講習を受けた先輩職員や上司らが「アセッサー」として、技能を評価するのが特徴だ。

 当宮さんが取得したのは、初任者向けの段位に当たる「レベル2〈1〉」。同じ職場で働く看護師の佐藤史枝さん(48)がアセッサー資格を取得したのをきっかけに挑戦した。

 佐藤さんの助言を受けながら、62項目のチェックポイントをすべてクリアした。具体的には、「おむつ交換の際に、プライバシーの配慮をしているか」「食事介助では、のみ込んだことを確認してから、次の一口を運んだか」といった項目だ。

 現行で最上段の「レベル4」は、衛生管理や高齢者とのコミュニケーションなどの項目も加わり、148項目が課せられるという。

 当宮さんは「自分ではできていると思っていたり、全く気づかずにいたことを指摘されて、目からうろこが落ちた」と振り返る。

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 ■ 基本給上がる

 「優っくり村」を運営する社会福祉法人奉優会では、キャリア段位の取得などでポイントを集めると、基本給が上がる仕組みを2015年度から実施。これまでに法人全体で7人が段位の認定を受けた。

 アセッサーの佐藤さんは、「漫然とやってしまいがちな介助の動作にも、実は事故や感染を防ぐなどの意味があることを理解してもらえた。周りの職員も意識が変わったようだ」と制度を評価する。

 段位認定を行う一般社団法人シルバーサービス振興会によると、アセッサー数は1万1863人、認定者数は1505人に上る。厚労省の担当者は「知識だけでなく、実践的な能力を評価する仕組みとして有用。今後の広がりに期待したい」と話す。

 ■ 業務の合間に

 介護職員の専門性向上の動きは、職員側の団体からも起きている。

 日本介護福祉士会などは、介護福祉士の上位資格として、「認定介護福祉士」の資格制度の創設を目指している。高い介護の知識と技術に加え、医師や看護師など、医療スタッフとも連携し、介護サービス全体の運営管理を担える人材を育成することが目的だ。

 11~12年度には、モデル事業として、チームリーダーや施設長など、職員を束ねる立場の人材を全国から集めて、講習を実施。昨年末には、養成と資格認定を行う「認定介護福祉士認証・認定機構」を設立した。今年度中にも認定介護福祉士が誕生する見込みだ。

 ただ、どちらも普段の業務の合間で行うため、職員や事業所の負担が大きい点が課題となっている。このため、これらの仕組みを普及させるには、認定を受けた職員が多い事業所の介護報酬を引き上げるなどの支援が求められそうだ。(飯田祐子)

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