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がん治療、仕事と両立…再雇用や休暇、企業に広がる支援

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万一に備え就業規則チェック

がん治療、仕事と両立…再雇用や休暇、企業に広がる支援

 働きながらがんを治療したり、治療後も仕事を続けたりできるような職場の制度づくりが広がっている。

 がんと診断されたからといって、よく考えずに退職すれば、生活は厳しくなる。働く人は職場の制度を調べるなど、万が一に備えておきたい。

 生活協同組合コープみらい(本部・さいたま市)の男性職員(55)は、2012年1月に腎臓がんと診断されて以来、転移や再発で7回休職を繰り返したが、昨年7月に復職。週3日、半日ずつの勤務から徐々に仕事量を増やし、今年1月、通常勤務に戻った。今も残業はせず、平日に通院する代わりに土曜に出勤するなど柔軟に働く。

 一時はそのまま働けなくなる不安もあったが、「辞めずに済んだのは職場のサポートのおかげ」と話す。がん治療中の職員に対し、コープみらいでは時差出勤や在宅勤務のほか、期限が過ぎた有給休暇の活用も認めている。これまでに17人が、がん治療から復職した。この男性の場合、看護師の職員が面談を繰り返して体調を確認し、無理なく働けるよう配慮したのが大きかったという。

 がん治療と仕事の両立支援を図る企業は増えている。かつら大手アートネイチャーは、がんを理由に離職した人の再雇用や、治療のため時間単位で有休が取れる制度を設けた。マンション分譲大手の大京には、転勤が難しい場合に勤務地を限定できる制度がある。

 厚生労働省によると、がんと診断された人の5年生存率は、03~05年時点で6割近くまで上昇した。通院しながら働く人は推計約32万5000人。乳がんや子宮 けい がんにかかりやすいことから、60歳未満では女性が圧倒的に多い。一方、13年の調査では、がん患者の30%が依願退職し、4%が解雇されている。同省は今年2月、がんなどを理由にした退職を防ぐため、企業向けの指針を発表した。管理職らの研修や時間単位の休暇制度導入などが示されている。

 国立がん研究センターの医師でがんと就労を研究する高橋都さんは、「がんはもう不治の病ではない。しかし、職場に気兼ねするなど、会社の制度を知らないまま辞めて後悔する人も多い。簡単に辞めないで、会社にはできることと配慮してほしいことをはっきり伝えて」と話す。

 ファイナンシャルプランナーで乳がん体験者の黒田尚子さんは「2人に1人ががんになる時代。働く人は、いつかはがんになると考えて備えを」と話す。働けなくなったらどんな支援があるかを、勤務先の就業規則などで日頃から見ておきたい。

 健康保険にも傷病手当金という制度があり、欠勤で給料がもらえなくなっても、健康保険から給料の3分の2相当が最長1年6か月間支給される。また、高額療養費制度を利用すれば、治療費が高額になっても自己負担を大幅に抑えられる。こうした制度も調べたうえで、「心配なら民間のがん保険などの検討を」と黒田さんは話している。(谷本陽子)

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