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[認知症のはてな](2)早期の正しい診断、適切ケア

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[認知症のはてな](2)早期の正しい診断、適切ケア

 慣れている道に迷ったり、物忘れがひどくなったり――。

 こうした行動が目立ち、家族や自分が「認知症では?」と思ったとき、どこに相談すればいいのだろうか。適切な治療のためには早期の正しい診断が大切だ。

 東京都内の会社員男性(48)は、近くで一人暮らしする父(81)が2009年末、アルツハイマー型認知症と診断された。1年ほど前から忘れっぽくなったと感じていたが、「年のせい」と気にとめなかった。ところが、次第に「宇宙人がいる」などと独り言が増え、攻撃的になって暴言を吐いたり暴れたりするように。

 やがて、夜中に車で 徘徊はいかい し、物損事故を起こした。嫌がる父を説き伏せて総合病院の精神科を受診すると、すぐに入院となり、認知症と診断された。暴言や幻視は、若い頃に患った統合失調症が、薬を勝手にやめて再発していたことが原因とわかり、薬を飲むと症状は治まった。「父が嫌がることもあり、おかしいと気づいてからも、どのタイミングで受診しようか悩んでいた。もっと早くに受診させていれば」と男性は悔やむ。

 「おかしい」と感じたら、どんな医療機関を受診すればいいのか。

 総合病院では、精神科や神経内科、脳神経外科などのほか、専門窓口の「物忘れ外来」を設けている病院もある。地域のクリニックを選ぶ際には、都道府県の研修を受けたり、国が養成を進める「認知症サポート医」の認定を受けていたりする医師であるかが目安のひとつだ。研修や認定を受けた医師を公表している医師会もある。地域包括支援センターや、認知症疾患医療センターなどでは、近くにどんな専門医がいるかの相談にも応じてもらえる。

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 かかりつけ医がいる場合は、診療科を問わず、相談してみることだ。詳しい検査が必要な場合は、総合病院などを紹介してもらえる。東京都三鷹市の「のぞみメモリークリニック」で認知症の人を診察する首都大学東京の繁田雅弘教授(精神医学)は「認知症は、診断後に長くつきあう必要がある病気。通院に2時間かかる大病院よりも、気軽に質問できるかかりつけ医の方が良い場合もある」と話す。

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 診断は、本人や家族からの聞き取りや、記憶力や判断力の検査のほか、必要に応じて、血液検査や脳の画像を調べるMRI(磁気共鳴画像装置)などを行い、総合的に判断する。基本的には1回の受診で診断するが、ごく初期の場合、すぐに診断できないケースもある。繁田教授は「そのときに大丈夫と言われても、半年後も症状が続くようなら、必ずもう一度受診してほしい」と強調する。

 認知症は、原因となる病気で種類がわかれ、症状も異なる。どの種類かを判別することが、適切なケアにつながる。正常圧水頭症や脳腫瘍など脳の病気でも認知症と似た症状が出ることがあり、早期に診断すれば治療が可能なケースもある。

 受診にあたって気をつけるポイントはあるのか。「認知症の人と家族の会」東京都支部の須田井久子さん(65)は、事前に「いつからどんな症状が見られ、どんなことに困っているか」などをメモにまとめて受診することを勧める。問診がスムーズに進められ、限られた診察時間を有効に使えるからだ。

 本人が受診を嫌がる場合も多い。かかりつけ医がいるなら、事前に相談しておき、定期受診の際に認知症検査を勧めてもらうなど工夫もできる。

 須田さんは「無理に病院へ連れていくと、家族の信頼関係が壊れてしまう。普段通っている医師の指示には素直に従う人も多いので、本人の納得感を大事にしてほしい」と話す。(小沼聖実)

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