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元記者・酒井麻里子の医学生日記

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茶道で気付いた「一期一会」の大事さ 医学部で学ぶ時も

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茶道で気付いた「一期一会」の大事さ 医学部で学ぶ時も

ある日のお昼休み。お弁当持参の同級生と一緒に教室でお昼ごはん

 夏が近づいてきました。季節の変化を感じる暇もなく、授業と試験に追われていた編入1年目とは違い、2年目の今年は時間的に少しゆとりが出てきています。今回は、4年生になった最近の日々について書きたいと思います。

島根大学では、4年生に進級が決まると「臨床医学」を学び始めます。「臨床医学」は、「耳鼻科」など病院で目にする診療科を思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。

 内科も外科も専門ごとに分かれており、「呼吸器内科」「血液内科」「消化器外科」などの診療科ごとに主な病気や治療法などについて勉強します。

  医学部キャンパスは大学の付属病院と隣接しており、そこで診療をしている先生が主に授業してくださいます。

  授業は午前8時半に始まり、午後4時か6時くらいまでです。学生は同じ教室にいて、そこに代わる代わる先生が来られる形式です。週に何回か、グループで症例について話し合う授業や実習もあります。

  一つの診療科について1~2週間学び、その科の知識を問う試験がだいたい毎週あります。毎回の試験に向けて覚えることはたくさんあります。

  とはいえ、ほぼ2年分を1年間で学んでいた編入1年目の昨年とは違い、週末に出かけたりする時間もできるようになりました。

 先日、友人とお隣の松江市に足をのばしました。松江を訪れたのは、東京にいた頃通っていた茶道の先生から、コラムを始めたことを機に手紙をいただいたことがきっかけです。

 松江城の城主だった松平治郷は、茶人としてお茶文化を広めたことで知られ、お茶の世界を久しぶりに感じたくなったのです。

 新聞社の仕事は不規則でしたが、茶道の先生がそんな中でも通えるよう、私の都合にあわせてお稽古してくださったおかげで、約6年続けることができました。

 そこには、建築家やデザイナー、医師、主婦など仕事も様々、年齢も、お孫さんのいる人から、小学校に上がる前のかわいい生徒さんまで様々な人が通っていました。

 どんな年齢、肩書の人も先生の前では同じ生徒です。毎回、先生が季節の花や菓子、掛け軸などを用意してくださいます。

 そのときに集った人、そのときの会話、花や掛け軸、菓子はすべて一度きりで、同じ状況は二度とありません。いかにその瞬間を大切に思えるか。茶道を通し、その瞬間を大切にすることを学んだように思います。

 久しぶりに学生に戻って1年余り。毎日、朝から夕方まで授業が続きます。

 毎回、大量の情報量で、集中して聞かないとすぐ分からなくなってしまいます。時間内に消化しきれないことが多く、ただ座って聞いているだけなのに、授業が終わるとどっと疲れてしまうことも少なくないです。

 ですが、考えてみれば授業も、その瞬間にしか味わえない貴重な時間です。

 もしかしたら、授業でお会いした先生は転勤などで、最初で最後かもしれない。教室にいる同級生の状況、自分を取り巻く環境や自分自身の心境も少しずつですが、毎日異なり、同じ状況は二度とありません。

 その瞬間は一度きり。

 試験が毎週のようにあって少し大変なときもありますが、そう感じられる日が多くなるようにしたい、と思います。

 松江で買った和菓子を手に、週明けからまたがんばろうと思いながら帰途につきました。

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酒井麻里子(さかい まりこ)
 2003年、慶應義塾大法学部卒、同年読売新聞東京本社入社。北海道支社、東京本社社会部、医療部を経て、2015年3月末に退社。同年4月、島根大医学部に3年次編入学。医療部で患者さんを取材したことがきっかけで医学部を目指した。著書に『限界自治 夕張検証』(2008年)

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