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知って安心!今村先生の感染症塾

医療・健康・介護のコラム

イベントで起こった食中毒…鶏肉とカンピロバクター

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イベントで起こった食中毒…鶏肉とカンピロバクター

 B級グルメの大会やイベントが各地で開催されるなど、今は日本全体が食ブームで盛り上がっています。そんな中で、大きな人気イベントで起こった集団食中毒のニュースが飛び込んできました。今回は、この事例を参考にしながら、鶏肉とカンピロバクター食中毒の関係について解説してみたいと思います。

肉のイベントで発生した集団食中毒

 まず最初に、今回の事例に関するニュースをご紹介しましょう。日本中の肉料理を堪能できる大きなイベントが、ゴールデンウィークに開催されました。東京都で開催されたイベントでは49人が、福岡での同じイベントからは108人が、食中毒の症状を起こしたということが報道されました。

 『都内の「肉フェス」で食中毒…ハーブチキンささみ寿司を食べた49人が発症』
  https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160517-OYTET50029/

 『福岡の「肉フェス」でも食中毒、鶏肉握りずし食べた108人が症状』
  https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160517-OYTET50031/

 これらのニュースのもとになった、行政からの報道発表資料はこちらです。発症した人に共通していた料理は「鶏肉の握りずし」で、一部の人たちの便からカンピロバクター菌が検出されています。

 『江東区内で開催されたイベント(通称「肉フェス」)において提供された食事による食中毒』東京都
  http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2016/05/20q5g200.htm

 『食中毒の発生について(第2報)(平成28年5月16日)』福岡市
  http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/2785/1/160516press.pdf

食イベントと食中毒

 今は、日本中が食ブームで盛り上がっています。B級グルメの流行によって、地方の小さな町が活性化することもあります。また、これまで有名店に太刀打ちできなかった個人店でも、大会やイベントをきっかけに一発逆転することも可能となっています。そして、各地でイベントが開かれることによって、多くの人が日本中の素晴らしい食文化を楽しむことができるようになりました。

 このように、食ブームそのものは多くの人に幸せな時を与えてくれます。しかしその一方で、本来の店とは異なる衛生環境で、短時間で多くの人に食事をつくる機会が増え、食中毒の発生リスクも高まってきています。

 大きなイベントにおいては、同じ食材を複数の地域で扱うこともあります。そして、それぞれのイベントには、遠くからもファンの人たちがやってきます。その結果、日本各地で発症者が出てくるという、広域の集団食中毒もみられるようになってきました。

室外イベントでのリスク

 多くの菌は、環境の温度が高くなると、菌量が増えやすくなります。したがって、冷蔵庫やクーラーボックスの食材を出した時から、菌が急速に増えはじめます。多くのイベントは、気温が上昇する季節に開催されます。特に、室外で開催されるイベントは、より食中毒発生のリスクが高い場所になってしまいます。

 イベントの現場は、お店でいつも調理している衛生環境とは大きく異なります。日常的にお決まり作業となっている衛生的な調理方法も、どこか違ってくるはずです。そこで、改めて細心の注意をはらって対策を立てる必要があるのです。

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今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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