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イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常

yomiDr.記事アーカイブ

信用できる? ネットの医療情報との付き合い方

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 今日は、僕のヨミドクターの記事が東京・四ツ谷にある大学の保健センターで壁新聞のように掲示して頂いているということを知人経由で知りました。 「『たばこ非合法の国』が僕の夢」 というエッセーを大きく掲載して頂いています。 (うれ) しいですね。

 

チェックされていないのがHPの魅力だが…

 コンピューターが普及し、スマートフォンが普及し、HPから情報を取ることが多くなりました。僕の生活もそうです。しかし、HPはこちらが興味を持って取りに行けば、いろいろな情報を瞬時に検索できます。本当に便利です。しかし、そこは玉石混交です。だれがチェックするわけでもありません。むしろ誰にもチェックされないことがHPの魅力でもあります。

 インターネットがない頃は、偶然に 沢山(たくさん) の情報を手にしました。人と会うときなどもそうです。駅には伝言板がありました。黒板やホワイトボードに各自が簡単なメッセージを残せる機能です。ある時間が経過すれば消されます。今は携帯電話があります。メールがあります。いつでも連絡が可能です。昔は違いましたね。もしも何かあれば駅前の喫茶店にいるとか、定刻を過ぎたら本屋で待っているとか、それぞれに工夫をしました。そんな時に読む雑誌や書籍から、新しいことを手に入れた思いがあります。偶然を楽しむ時間があったように思えるのです。

 ところが今は本当に忙しいですね。持ち運びできるPCがあって、それを無料のネットワークに接続したり、Wi-Fiのルーターを持ち歩いたり、最近はスマートフォンからもデザリングできますから、どこでもネットに (つな) がります。また短い文章であれば、スマートフォンで入力もできます。原稿のチェックもPCやスマートフォンでできます。いつでも働いているようです。無駄な時間を楽しむことが本当に減りました。

 そうすると、自分の興味があることはどんどんと調べることができます。興味があるのですから、自然とそれに費やす時間も増えるでしょう。ある意味、一日中そんな自分の興味だけに集中することもできます。いろいろなことに興味がある人は、いろいろなことを調べるでしょう。でも、あくまでも調べる側に主導権がありますね。

 

新聞やテレビなど、信憑性が高いメディアでも欠点が…

 たまたまいろいろな情報に接するという機会は、やはりテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などが適切と思います。こちらはディレクターや編集者がいて、そして情報を取捨選択した上で流します。ですから、HPのようにまったく一個人が、自分の責任で書いている文章や情報とは異なります。ある意味信憑性があるということです。しかし、言葉を換えれば、ディレクターや編集者の意向に左右されるということにもなります。

 四ツ谷の大学では僕の記事を気に入って頂いて、そして多くの人の目に触れた方がいいとの判断があって、壁新聞のように加工して医療情報を積極的に取りに行かない人が目にする機会を作って頂いたと思っています。嬉しいことです。

 HPが普及して、情報は氾濫しています。医療情報もしかりです。将来的には正しいことは集約していくのですが、何が正しいか現時点ではなかなかわからない医療情報では玉石混交の度合いは相当なものになります。そんな医療情報には上手に接することが大切ですね。僕の患者さんには、テレビの健康番組はすべて見る、録画してでも出来る限り見る、また新聞も医療関係の記事は隅から隅まで読む、そして医療記事のネットサーフィンを行うという人がいます。そして、どの情報が正しいのですかと質問に来るのです。そんな人の中には、僕たちと同じように医療に精通している人もいますが、専門家目線からすれば、なんでこんな馬鹿げた記事を信じるのだろうと思うこともしばしばあります。

 情報には欠点と利点があることを知って利用して下さい。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアは、信憑性は高いがディレクターや編集者の意向に左右されます。HPは誰でも自由に書き込める分、信憑性は読み手の判断に任せられるが、その文章は書き手の意向がそのまま反映されているということです。

 この大学には不思議な縁があって、浪人時代に興味を持った加藤周一という作家が教授をしていました。その人の授業を聞きたくて、何度も聴講に行きました。また、今は某大学のリハビリ科の教授になった同級生がジャズダンスをやろうと言うので、医学生時代に隣の駅だったこの大学の体育館で当時流行し始めたジャズダンスを踊ったこともあります。不思議なご縁ですね。

 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。

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知りたい!_20131107イグ・ノベーベル賞 新見正則さん(1)写真01

新見正則(にいみ まさのり)

 帝京大医学部准教授

 1959年、京都生まれ。85年、慶応義塾大医学部卒業。93年から英国オックスフォード大に留学し、98年から帝京大医学部外科。専門は血管外科、移植免疫学、東洋医学、スポーツ医学など幅広い。2013年9月に、マウスにオペラ「椿姫」を聴かせると移植した心臓が長持ちする研究でイグ・ノーベル賞受賞。主な著書に「死ぬならボケずにガンがいい」 (新潮社)、「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」 (朝日新聞出版社)、「誰でもぴんぴん生きられる―健康のカギを握る『レジリエンス』とは何か?」 (サンマーク出版)、「西洋医がすすめる漢方」 (新潮選書)など。トライアスロンに挑むスポーツマンでもある。

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