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医療・健康・介護のニュース・解説

かかりつけ薬剤師・薬局制度が始まって、何が変わるのか?

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言わせて!岡田浩

はじめに

 「かかりつけ医」に自分の病気や生活環境まで理解してもらったうえで治療を受けるという方は多いと思います。しかしその後訪れる薬局では、毎回違う薬剤師が薬を渡すことも少なくないのではないでしょうか? 今年4月から新たに始まった「かかりつけ薬剤師・薬局」制度では、事前に決めた薬局の「かかりつけ薬剤師」が毎回対応し、複数の施設から処方されている薬であっても一元管理してくれる制度です。

 日本は現在、先進諸国の中でも最も早く高齢化が進行しており、対策が急がれています。厚生労働省は、地域で多職種が協働して医療・ケアを提供する「地域包括ケアシステム」政策を進めており、今回その一環として「かかりつけ薬剤師・薬局」制度が始まることになりました。

薬剤師、京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室研究員 岡田浩

1.「かかりつけ薬剤師・薬局」とは?

 厚生労働省は「かかりつけ薬剤師・薬局」について、以下の3点を実施することを求めています。

1)「服薬情報の一元的・継続的把握」:これまでは様々な薬剤師が対応していた服薬情報の管理を、「かかりつけ薬剤師」を決めることで、毎回同じ薬剤師に対応してもらえます。薬剤師は、お薬手帳や聞き取りをした情報をもとに、処方薬だけでなく市販薬や健康食品なども含め、複数の病院等から出されている薬についても飲み合わせや重複などをチェックします。

2)「24時間対応・在宅対応」:薬局は患者の急な体調変化などの緊急時にも、24時間対応することができるように体制を整え、緊急時に薬剤師が相談にも乗れるように、緊急連絡先の電話番号を知らせておくことが求められています。また薬局として、自宅での在宅ケアへの関わりも求めています。

3)「医療機関等との連携」:1人の「かかりつけ薬剤師」が主治医等に得られた情報を打ち返し、協力して治療を進めることを求めています。「かかりつけ薬剤師」を決めることで、主治医とは協力して治療を進めやすくなることが考えられます。

2.かかりつけ薬剤師・薬局のメリット・デメリット

 普段あまり薬局を利用することのない方は、併用薬のチェックや相談については、一般の薬剤師でも従来通りに行います。そのため、「かかりつけ薬剤師」を決めても費用が20~100円余分にかかってしまい、メリットがあまりないかもしれません。しかし、持病があり、定期的に医療機関にかかっている方にとっては、身近で気軽に相談できる薬剤師は役に立つこともあると思います。

 以上のことから、メリット、デメリットは以下の表のようになると思われます。

メリット デメリット
1.「服薬情報の一元的・継続的把握」
・いつも同じ薬剤師が担当
・顔見知りなので気軽に相談
2.「24時間対応・在宅対応」
・いざという時にも相談可能
3.「医療機関等との連携」
・かかりつけ医と連携が容易
・若干の経済負担増

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1件 のコメント

掛かりつけ薬剤師が出来てから

ろぼ

掛かりつけ薬剤師/薬局と言う言葉にもなれましたが、私は残念な事に、いい思いをした事がありません。熱のある子を連れて、病院からまた薬局で待ち。認知...

掛かりつけ薬剤師/薬局と言う言葉にもなれましたが、私は残念な事に、いい思いをした事がありません。熱のある子を連れて、病院からまた薬局で待ち。認知症のある年寄りは薬局でまで又行く事を嫌がったり、結局付添人の私の負担だけ増えました。
自分が病気の時も同じです。しんどくってたまらないのに、また薬局へ。そしてそこでもまた病状を聞かれます。しかも、薬局は配慮がない。病院は個室で静かに話せますが、薬局の大半はオープンで筒抜け。病状をフロア中に聞かれ、うんざりです。掛かりつけ薬剤師、つまり薬局もそう都合良く自分の地域にありませんし、皆んなそんな都合良い薬局があるのかと不思議です。
今は院内処方の病院だけ選んで行くようになりました。時々しか病院に行かない私には、有利な点は一つもありません。
また小さな子供や年寄りがいる家庭も面倒なだけ。掛かりつけ薬局など都市部だけの話でしょ、と自分の周りの人達も冷めた感覚です。

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