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突然死を防ぐ<上>大動脈解離…血管の事故を起こさないために

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 日本で年間およそ10万人に起きている突然死には、血管の異常が大きく関係しているという。2016年2月25日に大阪・梅田の繁華街で起きた、車が突然歩行者に突っ込んだ事故も、車の運転者が「大動脈解離」を起こし、突然死したことが原因だった。『人は血管から老化する』などの著書があり、テレビでもおなじみの循環器専門医で池谷医院(東京都あきる野市)院長の池谷敏郎さんが、8か月ぶりにBS日テレ「深層NEWS」に出演し、血管に異常が起きる原因や、血管の事故を起こさないようにするために注意すべき点を分かりやすく解説した。

(構成 読売新聞編集委員 伊藤俊行)

◆血管を裂く血圧の上昇

突然死を防ぐ<上>大動脈解離…血管の事故を起こさないために

図1 BS日テレ「深層NEWS」より

 血管の事故は、動脈硬化の増加などを背景に、近年、増えています。そのうち、大動脈解離がどれくらいの頻度で起きているのか、なかなかはっきりとしたデータは取れていないのですが、いくつかの統計によると、年間10万人に対して3人ぐらいの割合で起きているようです。

 大動脈は心臓から出ていく太い血管です。血管はホースのような臓器で、壁が内側から内膜、中膜、そして最外層を外膜と、3つの膜で覆う3層構造になっています。

 先天的に少し壁が (もろ) い方もいらっしゃいますが、後天的には動脈硬化など、主に高血圧などが関連して壁が脆くなり、脆くなった壁に傷がつくと、一気にメリメリッと、ちょうど竹を割るように血管の壁が二つに裂けてしまいます。そこに血液が流れ込んでさらに裂け目が広がっていくのが、大動脈解離です。

 兆候としては、少し小さな亀裂が入った時点で、背中から腰に向かって痛みが進んでいくような形で出ることはあります。血管の中に傷がついてもあまり痛みは出ないのですが、血管の周りは神経が覆っていますので、外の膜の部分が広がっていくような時は、激痛があります。注射をされる時、血管がうまく見つからずに、中でぐりぐりと探された経験がありませんか? 皮膚を刺す時の痛みとは異なる痛みを感じますよね。あれと同じような痛みです。

 大動脈解離を起こす大きな要因としては、血圧の上昇が挙げられます。梅田の死傷事故が運転中に起きたのも、運転中は緊張して、血圧の上昇が起こりやすいのです。無理な追い越しをしたり、イライラしたり、慌てて運転したりすれば、なおさらです。

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