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イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常

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漢方薬の選び方…煎じ薬とエキス剤、保険適用か自費診療か?

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漢方の煎じ薬が自費診療となる場合

 煎じ薬の利点は、生薬をいろいろと加減できることです。構成生薬の分量の加減もできますし、また新しい生薬を加えたり、特定の生薬を抜いたりもできます。オーダーメイドの漢方薬が作れると言うことですね。ブレンドコーヒーをマメの種類や量をいろいろ工夫してより 美味(おい) しくするのと非常に似ています。欠点は毎日煎じることはちょっと無理なことです。煎じるには30分は必要ですから。また、携行には向きません。つまり現代人がポケットにいれて持ち歩くという西洋薬のイメージからはまったく別物になります。そこで、エキス剤が登場しました。煎じ薬を煮詰めて、その成分を乳糖などに吹き付けて、そして 顆粒(かりゅう) にしています。通常は5年間の有効期限があります。便利ですね。

 さて、本邦では約150種類のエキス剤が保険適用されています。医者に行って、そして処方箋をもらうと本当に安価に購入できます。3割負担で1か月処方してもらって、皆さんが薬代として支払うお金は平均1000円です。1か月分でたった1000円なのです。素晴らしい我が国の保険制度ですね。そして実は煎じ薬にも保険が適用されています。ただ、その処方箋を扱える薬局が少ないのです。院内薬局でも院外薬局でもいいのですが、たくさんの生薬を常備している必要があります。生薬の値段が高騰している昨今、たいした利益にならない保険適用漢方煎じ薬を扱うことができる施設は限られています。生薬には品質があります。素晴らしい生薬を (そろ) えると保険適用のお金では赤字になります。そこで致し方なく自費診療を行っている漢方医も少なくありません。

漢方と西洋医学なら…どちらを優先すべき?

 でも折角、漢方のエキス剤も煎じ薬も保険適用なのですから、まずどの医療機関でも扱える保険適用漢方エキス剤を試してみる。そして治らない時は、保険適用の煎じ薬を試してみる。それでも治らない時は自費の漢方薬を試してみるという順番が正しように思えます。そして漢方が使える西洋医を自負している僕としては、漢方薬は西洋医学の補完的薬剤と思っていますので、西洋医学で治せる疾患は西洋医学が優先されるべきと思っています。

 もしも保険適用の漢方煎じ薬を試したくても、近所にそんな施設がないときは、僕が顧問をしている公益財団法人愛誠病院の上野クリニックにお越し下さい。上野駅前です。板橋の愛誠病院の本院では煎じ薬は扱えません。上野クリニックでは保険適用で漢方煎じ薬が処方出来ます。

 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。

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知りたい!_20131107イグ・ノベーベル賞 新見正則さん(1)写真01

新見正則(にいみ まさのり)

 帝京大医学部准教授

 1959年、京都生まれ。85年、慶応義塾大医学部卒業。93年から英国オックスフォード大に留学し、98年から帝京大医学部外科。専門は血管外科、移植免疫学、東洋医学、スポーツ医学など幅広い。2013年9月に、マウスにオペラ「椿姫」を聴かせると移植した心臓が長持ちする研究でイグ・ノーベル賞受賞。主な著書に「死ぬならボケずにガンがいい」 (新潮社)、「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」 (朝日新聞出版社)、「誰でもぴんぴん生きられる―健康のカギを握る『レジリエンス』とは何か?」 (サンマーク出版)、「西洋医がすすめる漢方」 (新潮選書)など。トライアスロンに挑むスポーツマンでもある。

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