ニャるほど!社会保障
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出生数と合計特殊出生率
働く女性に負担重く


日本ではどうして、
生まれてくる
子どもの数が
減り続けているの?
日本では戦後、2回のベビーブームが起き、文字通り多くの子どもが生まれたんだよ。1回目が1947~49年で、生まれた人は800万人を超え、大きな塊という意味もあって「団塊の世代」と呼ばれている。
2回目のブームは71~74年。団塊世代の人たちが親となった時期で、出生数は200万人台を回復し、子どもたちは「団塊ジュニア」と呼ばれたんだ。しかし、その後はほぼ一貫して減少している。3回目のブームは訪れず、2014年は100万3539人と戦後最少になり、100万人割れが迫っているんだよ。
1人の女性が生涯に産む子どもの平均数を表すものに「合計特殊出生率」という数値があるんだ。2・07が人口を維持できる水準とされる。1975年に1・91となり、89年には、「その年に生まれた女性は夫を不幸にする」という迷信のある「
結婚しない人が増え、結婚する年齢も遅くなっているからだよ。〈1〉身分の安定しない非正規労働者として働き、暮らしに余裕のない若者が増えている〈2〉働く女性が増えているのに、子育ては女性の役目という雰囲気が職場や社会に残り、仕事を持つ女性に育児の負担がのしかかる――というのが背景にあるんだ。
子どもの数が減り続けるということは、働いて社会を支える世代が将来減るということだ。経済活動が落ち込んで国の富が減っていくので、年金や医療など今の社会保障制度を運営していくのも難しくなる。
子どもを産むか産まないかはあくまで夫婦の意思の問題だ。でも、子どもを欲しいという人がどんな職業についていても、希望をかなえられるような社会にすれば、人口の減少に歯止めがかかるかもしれない。
それには「育児支援は国の豊かさにつながる」という国民の合意が必要だ。安心して子どもを預けられる保育所を増やすのはもちろん、家計負担の軽減や短時間勤務の奨励に国は力を入れてほしい。(山口正雄)
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