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イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常

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ちょっとした努力で防げる…エコノミークラス症候群

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 今日は「エコノミークラス症候群」のお話です。ヨミドクターには各領域の専門家の先生がラインナップされていますので、僕はなるべく記事がダブらないように、医療雑学、医療豆知識、医療トリビアのような記事を書くことを常日頃心がけています。しかし、今日は僕の専門領域のひとつである静脈外科のお話をします。

 エコノミークラス症候群とは、飛行機の長時間のフライトで、座ったままでいると、着陸後に突然胸痛や意識消失、そして死亡に至ることがあるために命名された病気です。実際には、エコノミークラスだけでなく、ファーストクラスでも起きます。医学的な名前は、「肺血栓塞栓症」といいます。血栓とは血の塊、塞栓とは何かが血液に乗って流れてきて詰まることをいいます。つまりどこかでできた血の塊が肺の血管に詰まり、そしてそこで血の塊がどんどんと大きくなっていくという病態です。どこで最初に血の塊ができるかというと、命に関わる血の塊は足(ここでいう足は下肢のことです)にできます。足の静脈にできるのです。動脈は心臓から血液を組織に送る血管、静脈は組織から心臓に血液を送る血管です。つまり動脈はきれいな水道水、静脈は下水といったイメージです。静脈の血液は肺で酸素化されて、心臓に戻り、そして動脈を通って全身に送られます。エコノミークラス症候群は動脈ではなくて、静脈の血栓がその原因なのです。

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知りたい!_20131107イグ・ノベーベル賞 新見正則さん(1)写真01

新見正則(にいみ まさのり)

 帝京大医学部准教授

 1959年、京都生まれ。85年、慶応義塾大医学部卒業。93年から英国オックスフォード大に留学し、98年から帝京大医学部外科。専門は血管外科、移植免疫学、東洋医学、スポーツ医学など幅広い。2013年9月に、マウスにオペラ「椿姫」を聴かせると移植した心臓が長持ちする研究でイグ・ノーベル賞受賞。主な著書に「死ぬならボケずにガンがいい」 (新潮社)、「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」 (朝日新聞出版社)、「誰でもぴんぴん生きられる―健康のカギを握る『レジリエンス』とは何か?」 (サンマーク出版)、「西洋医がすすめる漢方」 (新潮選書)など。トライアスロンに挑むスポーツマンでもある。

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