性とパートナーシップ
妊娠・育児・性の悩み
中村うさぎさん(4)ゲイの夫と結婚して20年、「腹出しパートナーシップ」も悪くない
――この「性とパートナーシップ」の連載を続けていると、結婚という枠の中で絆が壊れていて、セックスもなくなって、片方は傷ついているのに、枠に閉じこめられて外にも求められなくて悶々としている人が多いのです。こういう場合でも、パートナーシップは成立すると思いますか?
「それはねえ。じゃあ、なんで離婚しないのかということになるじゃないですか。私にもそういう状態の友達がいるんです。旦那さんとセックスレスで、その旦那には女がいて、そんなに嫌なら離婚すればいいじゃんと思うような夫婦ですよ。私は離婚を簡単に考えているから、『離婚すれば?』と言うと、『そうもいかない』と言われます。経済的な理由だったり、子どもがいるからという理由だったりするのですが、私ぐらいの年齢になると、子どもも成人しているから今さら親が離婚したって、ぐれたりしないと思うのよ。子どもは嫌でしょうけれども、成人していれば、両親が離婚しても『あんたたちはあんたたちで生活しなさい』と言えばいい。それでも離婚しないのは、やはり、そこに何かがあるのだろうと思うわけです」
「文句ばっかり言っているから、愛情がないのかなと一見思うのですが、経済的な理由だけじゃない何かがあるのですよね。たぶん、言語化されないつながりのようなものがあるのだと思います。それをここできっぱり切ってしまって、何十年もかけて築いたものをまた一から築いて、あと20年間生きることを考えたら面倒くさくなるんじゃないかと思うのですよね。面倒くさいから一緒にいる、というのも一つの家族の形かもしれないです。『今さら別れるのも面倒くさいから、なれ合いで、この人だったら気を使わずに済むし、ずけずけ、ものも言えるし』という関係性ですよ。男女としては殺伐とした関係に見えるかもしれないけれど、パンツ一丁でウロウロしても何も言われないような関係も、それはそれで家族だと思うんです。うちもそうですけれどもね(笑)。夫はやらないのですが、私が風呂上がりにパンツ一丁でウロウロすると向こうは嫌がるのです。でも、そういうのも家族でしょ? やはり恋愛関係があると、恥ずかしかったり、だらしないところを見せられないと思ったりするし、そうそう気を許せない。でも家族なら、相当、弛緩した姿を見せても、腹出して寝ていても何とも思わない。それはそれでいい関係じゃないですか。居心地がいいし。いざとなればパンツ1丁で、腹出して寝られる関係性ですよ」
「犬猫などの動物と同じだと思うのですが、基本、動物って外で腹出して寝ない。本当に安心できるところでしか、腹は見せない。飼い犬や飼い猫だったら自分の家だけです。野良猫だったら自分の巣。人間や外敵の来ないところで初めて腹出して、お乳をやりますよね。それと同じで、人間も腹出して寝られる場所が必要だと思うのです。一人で腹出して寝ていてもいいのですが、誰かがそばにいて、こっちが腹を出していても、向こうが腹を出していても気にならないというのは、お互いに異性扱いはしてないわけですが、そういう関係を築いているということは、それはそれで一つの安らぎじゃないかと思うわけです。人間の夫婦で、『セックスレスだ、私はもう女として求められていない』と悩むのはわかるけど、同じ相手とセックスし続けるのは無理。そうしたら、もう腹出し関係になるというのも一つの選択肢ではないでしょうか。腹出しパートナーシップですよ」
――ご自身がホストにハマっていた時は、御主人に対して強い絆は感じていなくて、その時は女として愛されていない欠乏感があったという思いを書かれていました。今は御主人との間に家族としての絆が強まり、その関係に「愛情」という言葉も使われていますが、女としては求められてはいないですね。その渇望感はどうなりましたか?
「それは夫には求めていませんが、ほかの男にもてたいという欲望はありますね。男に性的に求められたいとか、恋愛したいという欲望は、病気前はものすごくあったのですが、病気してからはちょっとね。『ちゃんと一人で歩けない状態で、恋愛をしても』と思ってしまうのですね。例えば、私が男と恋愛してホテルに行こうという話になったら、介護されて行くのも嫌なんですね。夫に『男とホテルで会うから連れて行け』というのもなんだか言いにくいし、気まずい。『恋愛はしたいな』と思うのですが、『足がなあ』と思うと萎えるという状況ですね」
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