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がん診療の誤解を解く 腫瘍内科医Dr.勝俣の視点

コラム

がんの障害年金を知っていますか?

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医療者のあいだでも知られていない障害年金

 実際に、障害年金を受けるのには、医師の診断書が必要ですが、医師がよく理解していないことも多いというのが現状です。

 実際に、がん患者さんが医師に診断書を書いてほしいとお願いしたが、「書けない」と断られたケースをよく耳にします。

 よく誤解されるのが、身体障害者認定と混同されることです。

 身体障害者認定は、肢体不自由の方や、視覚聴覚障害の方などに対する認定制度で、認定されると、身体障害者手帳を受け取ることができ、各種サービスを受けることができます。身体障害者の診断書を書くのは、指定医しかできません。

 病院で多くの場合は、指定医となっているのは、脳外科医や整形外科医、眼科医などです。

 がん専門医は、障害年金の診断書を書いたことがない場合が多いので、身体障害者の診断書と勘違いしていて、「書けません」という医師が多い。しかし、障害年金の診断書は医師なら誰でも書けるのです。きちんとした診断書がなければ、もちろん障害年金をもらうことができません。患者さんが、障害年金の診断書を希望したら、医師は、丁寧に書いてほしいと思います。

 私も最初に「障害年金」の話を聞いたときには、この身体障害者認定のことと勘違いし、自分には診断書が書けないのではと思ってしまいました。

 進行がん患者さんには、病院の方から障害年金のことが紹介されるような仕組みになっていればよいのですが、病院のソーシャルワーカーさんも理解していることがそう多くはないという残念な現状があります。

障害年金を受けるには?

 障害年金を具体的に申請する際には、年金事務所に直接相談するのがよいのですが、年金を実際申請、給付されるまでにはかなり煩雑な手続きが必要となります。

 社会保険労務士(社労士)という社会保険に関する相談・指導を行う職業があるのをご存じでしょうか。障害年金を受ける際に、この社会労務士さんが、申請・診断書請求などの代行をしてくれます。

 個人で、年金事務所に相談するのもよいのですが、私の患者さんで、年金事務所に直接相談に行ったら

 「どこで聞いたのですか?」

 と問い詰めるような対応をされ、心が折れそうになったという人がいました。

 また、がんが進行して具合が悪くなっている状況で、このような手続きをするのも大変です。

 このような場合、お近くの社会保険労務士事務所に相談してみるのもよいと思います。また、社労士さんがつくっている障害年金支援ネットワーク(注3)も参考になります。

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katsumata

勝俣範之(かつまた・のりゆき)

 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授

 1963年、山梨県生まれ。88年、富山医科薬科大卒。92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後、同センター専門修練医、第一領域外来部乳腺科医員を経て、2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年ハーバード大学公衆衛生院留学。10年、独立行政法人国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科外来医長。2011年より現職。近著に『医療否定本の?』(扶桑社)がある。専門は腫瘍内科学、婦人科がん化学療法、がん支持療法、がんサバイバーケア。がん薬物療法専門医。

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