乳がん
乳首から分泌液 血も混じる
昨秋から右乳首から分泌液が出て血も混じるようになりました。乳腺外来でエコーやマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)、組織検査をしましたが良性でした。その前後に出血が多くなりました。痛みもあります。3~6か月に1度の検診ですが、気をつけることはありますか。(65歳女性)
症状改善しても定期検査を
濱岡 剛 桜新町濱岡ブレストクリニック(東京都世田谷区)
乳房は母乳を作り授乳をするのが本来の役目です。そのため、個人差はありますが乳房の中には母乳を作る小葉、母乳を乳頭に送る乳管という構造があります。この構造は授乳を行っていなくても存在するので、授乳を行っていない時期の乳管内にも体液が含まれていて、少量の乳頭分泌はどなたにもあります。
しかし、血液を含んだ乳頭分泌(血性乳頭分泌)は精密検査が必要です。血性乳頭分泌の原因の多くは、良性の乳管内乳頭腫ですが、時に乳がんが原因である場合があります。検査は、乳腺エコー、マンモグラフィー、乳腺MRI(磁気共鳴画像)のほか細胞や組織を調べます。組織検査が最終診断で最も重要です。
今回はエコー、マンモグラフィーに加えて組織の検査まで行って良性ですので、現時点でこれ以上の検査は必要ありません。組織検査後は、一時的に出血量が多くなることもあります。日常生活で特に気をつけることはありませんが、出血が続けば乳がんに変化する危険性もあります。
早期の乳がんは血性乳頭分泌を伴ったとしても痛みが出ることは少ないので、今回の痛みも乳がんを示唆するものではなく、様子を見て問題ないと思われます。ただし、今後症状が改善しても早期の乳がんは症状がないことが多いので、定期的な検診はぜひ継続してください。