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ボンジュール!パリからの健康便り

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客が罪に問われる買春禁止法を可決、性労働者組合など反対デモ

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 先日、フランスで買春禁止法が可決された。売春婦ではなく、客側が罪に問われ、初犯は1500ユーロ、そして再犯は3750ユーロの罰金が科せられることになった。また未成年者への性行為は、3~5年の禁錮刑と4万5000から7万5000ユーロの罰金となる。

 現在では売春婦の約8割が外国人で、人身売買や強制労働などもあることから、この法律は売春婦を被害者とみなし、客を加害者としている。しかし、実際には性労働で生活をしている人たちも多く、この買春禁止法に反対する売春婦や支援団体、性労働者組合などは、厳しく禁ずることにより、隠れた売春行為が行われ、事件に発展する可能性が増えるとして各地でデモが行われた。

 フランスは昔からmaison close(メゾン・クローズ=閉ざされた家の意)という政府公認の高級娼館があったことでも有名であり、またサン・ドニ門からセーヌ川に向かって南下するサン・ドニ通りの娼婦街も有名である。ブーローニュの森も有名だが、ここは男娼や性転換者も多い。昼間でもちらほらとほとんど全裸に近い男女が道端に立って客を待つ姿も見えるが、夜になると数メートルおきに現れる。車に乗って消えて行く娼婦もいれば、森の奥へ誘い込んでいく娼婦もいる。森ではたとえ犯罪に巻き込まれてもわからない。犯人は捕まるはずはない。命がけで性を売っているのだ。家出した男の子が、ブーローニュの森の道端に立ってお客を待っている姿を車で通りがかった両親が発見したという話も聞いたことがある。

 売春婦の半数は薬物を使用しており、また性感染症も多く、HIV(エイズウイルス)の感染者も増加傾向にある。様々な事情から病院へ行く人はごく少数であることから、産婦人科医や看護師などのボランティアが娼婦街を巡回している。婦人科用の診察台を乗せた大型の車は娼婦街の近くに停められ、診察や検査、相談そしてコンドームの無料配布を行っている。あくまでも受け入れる姿勢で、娼婦たちを無理やり連れてくることはない。たとえ自分から診察に来ても、再び来る娼婦はほとんどいないという。またHIVの検査を怖がって拒否する娼婦も多い。大概は性感染症を患っており、一時的な薬の投与も多いという。

 買春禁止法の可決により、インターネットなどを使って娼婦を呼び出す客も増えて来ているという。パリの街から娼婦の姿は消えるだろう。でもパリの地下で犯罪に巻き込まれることが増えるかもしれない。私は、いくら禁止されてもゼロにはならない性労働者たちの行方が気になる。

 なぜなら私はパリに来た当初、このサン・ドニ門の近くに住んでいたことがあるからだ。1年に満たないサン・ドニでの生活は娼婦たちの生活を知ることとなった。娼婦たちとあいさつを交わし、話を聞くこともできた。この大切なパリの思い出は、また別の機会に書きたいと思う。

■今週の一句

傘立てに 忘れて仰ぐ 春の雨

客が罪に問われる買春禁止法を可決、性労働者組合など反対デモ
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ボンジュール!パリからの健康便り_古田深雪_顔120px

古田深雪(ふるた みゆき)

1992年渡仏。
1997年より医療通訳として病院勤務。

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1件 のコメント

世界で最も古い職業?

セントパンクラス

(エラーが出たので再送します) ここイギリスでは売春そのものは禁止されていないものの、売春場所の提供・客引き・売春婦のピンハネ・通りで売春婦を物...

(エラーが出たので再送します)

ここイギリスでは売春そのものは禁止されていないものの、売春場所の提供・客引き・売春婦のピンハネ・通りで売春婦を物色すること(kerb crawlingと呼ばれます)などは禁止されています。また、18歳以下の売春婦(夫)と取引することも禁止されています。一方、16歳(北アイルランドでは17歳)以下の子供と関係を持つと2年以下の懲役刑です。最近まだ20代のサッカー選手がファンの14歳女子と淫行におよび(ガールフレンドも子供もいるのに!)懲役刑を受けてクラブを解雇され、キャリアを棒に振っていました。何ということでしょうか。

私の住むエリアも以前は売春婦が多いことで有名だったのですが、二十年前に引っ越して来た時はほぼいなくなっていました。しかし中心部ソーホー地区にはまだまだいるようで「モデルいます、二階へどうぞ」といった貼り紙を時折見かけます。ロンドンにも東欧出身の売春婦が多いそうで、大抵の場合はいい仕事があるといって騙されて連れて来られるそうです。

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