臓器移植
透析より腎移植の方がよい?
40歳の息子が1月から透析を始めました。医師から「若いので(腎)移植を考えてください」と言われ、簡単な説明も受けました。手術のリスク、これからのことを考えると色々と不安です。(71歳女性)
生存率高く食事制限なし
相川 厚 東邦大学医療センター 大森病院腎センター教授 (東京都大田区)
息子さんはまだ40歳と若いので、私も透析を続けるより腎移植を受けたほうが良いと思います。その理由は、〈1〉腎移植の方が透析より生存率が高く、10年後では80~94%〈2〉食事・水分制限がなくなる〈3〉透析にかかる時間(通院時間を含めて週15時間)が仕事や遊びに使える〈4〉長期の旅行や出張も可能になる〈5〉透析による疲れや血圧の変動がなくなることなどです。
40歳だと今後30年以上にわたって透析のために時間を割かれ、次第に増加する合併症とともに生きなければいけません。
腎移植には、親族から二つある腎臓のうち一つを提供してもらう生体腎移植と亡くなった方から提供してもらう献腎移植があります。腎臓が機能している率は、生体腎移植後5年で92・8%、10年で84・9%。献腎移植後5年で83・9%、10年で66・3%で、手術で亡くなることはまずありません。
親子では免疫に関わる白血球抗原が50%適合しているので、かつては親子間が推奨されました。今は免疫抑制剤の進歩で、全く適合しない夫婦間移植であったり、血液型が違ったりしていても拒絶反応は10%以下になり、成績は同じです。
腎臓を提供するドナーの年齢は70歳未満が望ましいとされますが、70歳以上でも条件がそろえば提供できます。献腎移植での待機期間は、成人の場合14~17年になるため、親族で腎提供ができる方がいれば積極的に生体腎移植を受けることをお勧めします。