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知って安心!今村先生の感染症塾

医療・健康・介護のコラム

けっこう身近なアタマジラミ

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 4月といえば、入園・入学式の季節ですね。今回は、子どもに多くみられる「アタマジラミ」のお話をしましょう。「シラミなんて、今もあるの?」と思う方もいるでしょう。実は、まだ都会の園や小学校でも、シラミは発生しているのです。ちゃんとした知識をもっていないと、昔のシラミのイメージで、子どもや親が風評に悩まされることになります。この機会に、けっこう身近なアタマジラミのことを正しく知っておきましょう。

シラミの種類

 人に寄生して症状をもたらすシラミとして有名なのは、ケジラミ、コロモジラミ、そして、アタマジラミの3種類です。南京虫(ナンキンムシ)にも、トコジラミ(Bed bug...英語での一般的な名前もベッドの虫!)という名前がつけられていますが、こちらはカメムシの一種とされています。シラミは、人の血を吸って生きています(つまり吸血鬼!)。シラミによって起こるかゆみは、血を吸うときに入るシラミの唾液に対するアレルギー反応だと考えられています。

名は性格をあらわす

 これらのシラミには、その性格がよくわかる名前がつけられています。それぞれの名前は、シラミが好む場所を表現しているのです。

 コロモジラミ→「衣」が好き

 ケジラミ→「毛(特に陰毛)」が好き

 アタマジラミ→「頭」が好き

衛生環境と関連の深いコロモジラミ

 コロモジラミは、下着や服などに隠れています。そして、お食事時になると、人の皮膚へ移動して血を吸います。下着や服に住んでいるシラミなので、衣類の洗濯や入浴などをしっかりしている人の体では、安住することができません。したがって、衛生環境が良くなった今の日本では、ほとんどみられなくなっています。しかし、海外の途上国などでは今も発生しているので、海外旅行時などには気をつける必要があります。そして、このシラミは、他の2種類のシラミとは異なり、発疹チフス、回帰熱などの病気を媒介することがあるということも知っておきましょう。

性行為で感染しやすいケジラミ

 ケジラミは、陰毛が大好きです(なんてヤツだ!)。したがって、性行為によって他の人へ感染することが多くなります。ケジラミは、今も日本で発生しているシラミで、性行為感染症のひとつなのです。そして、このシラミが住みつくと、陰部にとても激しいかゆみが生じます。このシラミにとっては陰毛が主戦場ですが、間違って(?)、胸毛やワキ毛、そしてヒゲに感染してしまうこともあります。また、感染者が使用した寝具やトイレの便座などを介してうつることもあります。

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今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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1件 のコメント

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フランスにも多いシラミ

古田深雪

今村先生 ボンジュールパリからの健康便りの古田深雪です。 いつも先生のコラムを楽しみにしています。 フランスでも子供のシラミ問題は深刻です。 学...

今村先生
ボンジュールパリからの健康便りの古田深雪です。
いつも先生のコラムを楽しみにしています。
フランスでも子供のシラミ問題は深刻です。
学校や保育所で移ってくることが多く、コロニードバカンス
という日本の林間学校のような集団旅行で移ることも多いです。
夏休み明けの新学期には薬局のウインドーにシラミ退治の薬の宣伝が
所狭しと貼り付けられています。
シラミが好む子供がいるようで、同じ家に住んでいる子供でもシラミ
が移りやすい子供と移りにくい子供がいるようです。
フランスでは徹底的に退治する家庭もあれば、またすぐに移るからと
ほうっておく家庭もあるみたいで、シラミ問題はなかなか解決しないようです。
大人は、娼婦などから移ることが多いようです。

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