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オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

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胃カメラは勃起障害や不妊治療に必要か

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 先月、アメリカから帰国して最初にしたことは、虫歯の治療と胃カメラでした。

 実は、米国内で加入していた私たち家族の医療保険は虫歯治療までカバーしていなかったため、子供の虫歯を2本治療しただけで2000ドル(20万円以上)かかってしまいました。私は自分自身に虫歯があることを米国滞在時に気がついていたのですが、いくらかかるか怖くなり、日本にいた時のように気軽に受診することができなくなりました。米国の医療費の高さを肌で実感し、保険に加入できていない人は、本当に医療を受けづらいと思いました。

 そこで、保険の会社と相談し、歯科の保険に入ったのですが、私が受診した歯科医院ではその保険を取り扱っていないということで、結局、レントゲンだけ撮影して放置していたのです。保険のシステムも本当に複雑であり、素人には理解できませんでした。そのため、日本に帰国後にすぐに歯医者さんで治療を開始しました。かろうじて歯周病にはなっていませんでしたが、なんと虫歯が4本も見つかり、担当の歯医者さんと相談しながら治療を受けています。日本の保険って素晴らしい!

 さて、話は変わります。

 1990年代、私の医学生時代に実習で、じゃんけんで負けて実験台となり、友人たちから胃カメラ検査をさせられました。その時に、ピロリ菌に感染していることがわかりました。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは、胃に住み着いている細菌で、胃潰瘍や胃がんを引き起こすことが知られています。いつか除菌をしなければならない、と思っていたのですが、これも放置されたままでした。しかし、私の留学中にかつての同僚が胃潰瘍の 穿孔(せんこう) (胃に穴があいてしまうこと)を起こしてしまい、緊急手術となったのです。

胃カメラは勃起障害や不妊治療に必要か

 その話を聞いて、明日は我が身だと思い、帰国後すぐに消化器内科のドクターに相談して胃カメラを受けてきました。結果として、当然ですが私の胃はピロリ菌に感染しており、慢性胃炎の状態でした。私は胃の内視鏡所見のことはよく知らないのですが、明らかに胃の中が全体に腫れぼったく赤くなっており、異常であることがよくわかりました。

 泌尿器科医として、患者さんに 膀胱(ぼうこう) 鏡などの内視鏡をよく行うのですが、自分自身が内視鏡を受けるのは、月並みな表現になってしまいますが、 (つら) いものですね。これからは患者さんの気持ちになり、もっと優しく苦しくないように内視鏡をしなければならないと感じられました。幸い、それ以外の大きな病気は見つからず、現在、薬を内服してピロリ菌の除菌をしています。

 さてさて、前置きが長くなりましたけれど、今回はここからが本題なのです。

 実は、ピロリ菌や歯周病は、不妊症や勃起障害との関連が知られています。ピロリ菌の感染は精子の運動性や生存率を低下させることが報告されており、歯周病による炎症が勃起障害を悪化させることが研究では明らかになっているのです。近年の研究では、 蓄膿(ちくのう) 症の患者さんは勃起障害になりやすいこともわかっています。

 それらの原因は「抗体」という免疫の問題と、「慢性的な炎症」だと考えられます。この慢性的な炎症は、悪い (やつ) で、気がつかないうちにじっくりじっくり体を (むしば) んでいき、結果的に体中を老化させてしまい、様々な症状を引き起こしていきます。がんも慢性的な炎症によって引き起こされます。また、老化の最初のバロメーターとも言える不妊症や勃起障害などの症状も引き起こしていくのです。

 私は41歳ですが、この年代は40%ほどの人がピロリに感染しているそうです。もっと高齢になれば、より感染率が上昇するとのこと。また、若い人にも感染している人は多くいるそうです。現在は1次内服療法で90~95%ほどは治療が可能となっているそうです。今まで一度も検査したことがない人は、一度胃カメラをしてもらった方が良いかもしれませんよ。

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小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

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1件 のコメント

胃カメラ

jacs

大きなケガも病気もしたことはなく、もちろん胃カメラとはこれまで無縁でした。 何も症状がなくても、「胃カメラで検査お願いしま〜す!」って医者や病院...

大きなケガも病気もしたことはなく、もちろん胃カメラとはこれまで無縁でした。

何も症状がなくても、「胃カメラで検査お願いしま〜す!」って医者や病院に行けばよいのでしょうか。歯医者以外は、これまでほとんど医者に行ったことがなく、インフルエンザにもかかったことがありません。なんだか情けない話しですが、医者にはどうやって行くのでしょう!?

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