予防医学研究者・石川善樹の「続けたくなる健康法」
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日本人の死亡率は「4日」に高くなる
こんにちは。
予防医学研究者の石川です。
今回は、ストレスと死亡率との関係について、お話ししたいと思います。
もう今から15年ほど前のことになりますが、とても興味深い研究が権威ある医学雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」で発表されました。
「日本人や中国人は、毎月4日に心臓病で亡くなりやすい」
<研究概要の参照先(英文)>http://www.bmj.com/content/323/7327/1443
…と言われても、どういうことか?と混乱すると思いますので、説明をさせてください。
死亡率が13%も高い「4日」
まず大きな背景として、日本や中国では「4」という数字は不吉なものだと考えられています。言うまでもなく、「4=死」と結びつくからです。そのためか、病院などではそもそも4階という表記がないところもあります。
その一方、アメリカでは特にそのような規範はありません。だから別に「4」という数字を見てもドキドキすることがないわけです。
そこに目を付けたのが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の心理学者たちです。「心臓病の原因の一つはストレスだ。だとすると、もしかしたら日本人や中国人は、毎月4日に亡くなりやすいという傾向があるのではないのか?」
あまりも大胆な仮説ですが、実際にデータがあるので、彼らは調べてみることにしました。
米国内で、1973年1月から1998年12月までの、死亡した日などがきちんと登録されているデータ(在米日本人と中国人:約21万人、白人:約4,700万人)を分析してみると、確かに「白人に比べて、米国に住んでいる日本人と中国人は毎月4日に心臓病で亡くなるリスクが高い」ことが分かったのです。具体的には「毎月4日の死亡率が13%も高まっていた」と研究者らは報告しています。
不吉だと思うから不吉になる
このような「不吉だと思うから、不吉になる」という現象は、逆もまた真と言えます。つまり、「不吉だと思わなければ、不吉にならない」のだということを、心理学者ケリー・マクゴニガル氏は次のように述べています。
「ひどいストレスを経験しても、ストレスが無害だと思う人たちの死亡リスクは上がりません。それどころか、ストレスがない人たちと比べても、死亡リスクは低いことが報告されています」
<出典>TED:ケリー・マクゴニガル「ストレスと友達になる方法」
https://www.ted.com/talks/kelly_mcgonigal_how_to_make_stress_your_friend?language=ja
当たり前の話ですが、ストレスを完全に避けることはできません。私たちにできるのは、ストレスを受けたときにそれをどのようなものとして捉えるかということです。たとえば、ストレスが無害だと思う人は「健康に悪いものではなく、自分自身の成長の糧である」と捉えているのだと思います。どうせ生きていくなら、なるべく前向きに生きていきたいものですね。
それではまた次回!
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コメントありがとうございます
石川善樹
コメントありがとうございます。 研究というものは面白いもので、ある一つのことが分かると、それに伴って分からないことが次々に出てくるものです。 ま...
コメントありがとうございます。
研究というものは面白いもので、ある一つのことが分かると、それに伴って分からないことが次々に出てくるものです。
まさにコメントにいただいたように、「日本人や中国人にとって4日が不吉な日であるならば、それでは欧米人にとっての13日の金曜日はどうなのか」と疑問が出てきます。
研究とはまさにそういうもので、次回のブログでは、例えば「13日の金曜日に関する研究はそもそもあるのか?」というようなことを、どうやって調べるのか書いてみたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします!
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クリスチャンの13日の金曜日も調べてみてね(笑)
クリスチャンの13日の金曜日も調べてみてね(笑)
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日本人の死亡率は4(死)の日に高い
射手園
それでは 欧米人の13日の死亡率は調べた結果はありませんか。 もし高いと言うデータがでれば、考え方が人生を決めてしまうユニバーサルな結論になりま...
それでは
欧米人の13日の死亡率は調べた結果はありませんか。
もし高いと言うデータがでれば、考え方が人生を決めてしまうユニバーサルな結論になります。
もし欧米人の13日の死亡率は通常と変わらないということだと人種的思考の差になるのでしょうか。
それともこのデータはたまたまの偶然なのでしょうか。
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