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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

産声をあげて1年…「目と心の健康相談室」の役割

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 通常の医療機関ではなかなかそこまで手が回らない、患者個々の疑問や悩みに答えてゆく役割を果たそうと立ち上げたNPO法人「 目と心の健康相談室 」が産声をあげて1年が経過しました。

 自分自身で目の健康管理を行い、あるいは病や加齢による症状と共存しながら自立しようとする人を手伝うことは、医療機関への過剰な依存を防ぎ、良質な福祉サービスを提供します。

 前回、医療費抑制や、福祉サービスの向上のためにも、こうしたシステムを各身体科においても取り入れたらどうかと提案しました。

 しかし、相談室がどのように機能しているかのイメージなしには、この提案は漠然としています。そこで、現在の相談室の状況を以下に紹介しておきましょう。

 小田急線鶴川駅から徒歩1分の東京都町田市に相談室はあります。現在、受け付けや相談は月、水曜と、木曜の午前に行われています。

 相談は電話、電子メール、面談などで、眼科看護師としての経験豊富な理事長の荒川と、私とで担当しています。

 4月1日現在の有料相談会員は88人で、60歳以上の高齢者が目立ちます。

 会員の住所は北海道から沖縄県まで全国にわたり、東京都が31人と最多ですが、相談室の所在地である町田市は4人のみと地域への浸透がやや低いようです。首都圏以外の住所の方も意外に多く、住所を聞いても地図を見ないとどのあたりか見当がつかないこともしばしばです。

 診療施設や患者会から紹介されるほか、ホームページなどで知って申し込まれる方が多いようです

 「眼科は地域に一軒だけ。混んでいて、聞きたいことも聞けないという状況で、運よく相談室の存在を知った」という例が少なからず見受けられます。

 こうしてみると、まだまだ必要な人にこの相談室の存在が知られていないことを痛感します。

 相談者の病気は、 眼瞼(がんけん) ・顔面けいれん友の会という患者会と連携しているせいで、その疾患の人が26人と3分の1近くを占めています。

 次いで、緑内障、網膜疾患、強度近視と続きますが、不明というのも10人以上にのぼります。どこへ行っても、正常とか、気のせい、あるいはわからないと言われ、病名がつけられないものの、 (まぶ) しい、見えにくい、目が痛いなど、頑固な症状が存在する人です。

 こういう方々の場合、いかに治すかでなく、どう生活するかの指針を与えることが相談室の仕事になります。そうでないと、 (いたずら) に医療機関を転々としたり、有効な治療法がないまま医療機関へ依存したりする事態になるからです。

 相談室では、来る7月11日(月)午後1時45分から、小田急線鶴川駅前和光大学ポプリホール鶴川にて、1周年記念行事「目と心の悩みを晴らす集い」(入場無料)を開催します。座談会、特別講演(下村健一氏=慶応大学特別 招聘(しょうへい) 教授)などが企画されています。詳しくは ホームページ へ。「目と心」で検索すると行き着けます。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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