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低体温症に気をつけろ<下>体の保温にはこれが大事

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 東京都港区の芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏さんが、体の深部の低体温が引き起こす様々な問題について解説したBS日テレ「深層NEWS」の後半は、低体温にどう対応するかが焦点となった。今津さんは、人間の体を魔法瓶と考え、層を重ねることで、保温効果を高める方法について説明した。

 (構成 読売新聞編集委員 伊藤俊行)

◆人間の体は“魔法瓶”

 体温をきちんと保つには、空調による部屋の温度調整も大切ですが、人間の体を“魔法瓶”と考えるといいでしょう。

 人間の体はまず、皮膚という“防御服”で守られています。その中で、体温を保つ必要があります。そのためには、魔法瓶の層をしっかり作ることがポイントになります。室温などの環境を整えるのは、その後でいいのです。

 皮膚の下には、皮下脂肪があり、筋肉があります。これらも、魔法瓶の層になります。できれば、筋肉でしっかりした層を作ることが望ましいので、運動が重要になってくるわけです。

 お相撲さんのように、筋肉の層に加えて厚い脂肪の層があると、かなり高い保温効果があります。

 筋肉の層が少なくて脂の層が厚いと、温まることは温まりますが、熱を発生する装置である筋肉が薄いため、温かくなっても、すぐに冷めてしまいます。従って、太っているから低体温にならないかといえば、そんなことはありません。魔法瓶の層がバランスよく配置されている状態を整えていくことが大切です。

 その意味では、衣服の役割も重要です。低体温対策では、衣食住の中では衣服の重要性が高いのです。服を着ることで、空気の層ができます。つまり、魔法瓶の層が一つ増えます。衣服を重ね着することで、層が増えていくことになるわけです。

 ただし、「着ぶくれ」は良くありません。昔、日本人は着物を着ていました。あれは何層にもなっていて、意外に温かいのです。軽い衣類を重ねて空気の層を作るのがポイントです。

 また、衣服によって体を締め付けることも感心しません。締め付けると、体が緊張します。舞台に立つと緊張で手足が冷たくなるように、体を締め付けると循環が悪くなり、体温を下げてしまうのです。重ね着の場合は軽くて緩めのものを、適度に重ねることが好ましいと思います。

 足元を温める際にも、締め付けないようにすることが大事です。足を温めること自体は、良いことです。下半身は心臓から一番遠いところにあって、そこまで行って心臓に戻ってくるまでの間に、血液は冷えてしまうからです。

 下半身を温めておくと、戻ってくる血液も温かいままですから、体全体が温まるのです。最近は就寝用の靴下もいっぱい出ていますから、締め付けない限り、ああしたものを活用するのもいいでしょう。アンダーパンツをはく場合も、きつく締め付けるものよりは、緩めの方がいいと思います。

 首を温めるのも、効果的です。首や手首は、表面に近いところに血管があるので、ここを冷やさず、熱を逃さないようにするためにも、首の部分を温めることは理にかなっています。

 気をつけていただきたいのは、体温を上げることは大切でも、上げ過ぎは禁物だということです。「頭寒足熱」というように、頭は冷やした方がいいでしょう。体温が39度以上になると、脳の機能に影響が出て、 朦朧(もうろう) としたり、意識を失ったりしてしまいますので、注意してください。

◆胃の不調は低体温のサイン

 体を魔法瓶だと考えることで、生活の中で低体温に気がつくこともできます。

 低体温になっている状態は、魔法瓶の真ん中が冷えている状態と同じで、人間の体の真ん中の胃が冷えている状態です。従って、食事が進まない、胃がもたれる、消化不良が起きているといった症状が出てきます。

 その先の腸が冷えていると、食べたものが滞って便秘になるか、あるいは、逆に反射で下痢になるかもしれません。ふだん通りに食事をしているのに、お (なか) の調子が整わないときは、低体温のサインである可能性があります。

 また、年齢を重ねると、知らないうちに筋肉が衰え、体が疲れやすくなったり、服を余分に着ないと体が寒くてぶるぶる震えたりします。こうした自覚症状があっても、多くの人は、なかなか病気に結びつけて考えません。ですから、風邪をひきやすくなったとか、体調を崩しやすくなった時は、どこかで低体温がある可能性があると考えるのがいいでしょう。

 低体温のサインに、周囲が気付くことも大事です。本人は元気なつもりでいても、どうも歩き方がいつもよりゆっくりしているとか、睡眠のバランスが悪くなって顔色が悪いとか、そうした変化に周囲や家族が気付き、低体温が原因だと分かれば、適切な対策をとりやすくなります。

 深部体温を測れなくても、毎日同じ時間に同じ状態で体温を測ることで、変化に気付くことはできます。ただし、同じ条件で測らないと、結果がバラバラになってしまいます。お風呂に入った後や、運動をした後は体温が上がってしまっていますから、朝一番の最も体温が低いときに測定するといいでしょう。

 体温計のメーカーによって誤差があることを前提に、同じ体温計で測るようにしてください。短時間で測定が完了する体温計は、予測値を出していますが、それでも、だいたいの値と傾向が分かればいいのです。

◆朝一番に温かい飲み物を

 食事は、体を温める一番簡単な方法です。

 1日のうちで一番体温が下がっているのが朝ですから、まず、朝に魔法瓶の真ん中、つまり消化器官を温めましょう。

 健康のため、起きてすぐに冷たい水を飲む人がいらっしゃると思いますが、これは腸を刺激し、自律神経を整える作用があります。そうであれば、低体温のことを考え、冷たい水ではなく、温かい飲み物を朝一番に飲めば、一石二鳥ではないでしょうか。

 食事で低体温対策として効果的なのは、ショウガ、ネギ、ニラ、ニンニクの4つです。食材の中の成分が、体を温めてくれます。温かいショウガは、より体を温めやすくなりますから、低い温度でショウガをとるよりも、少しお湯の中に入れるなどするといいでしょう。

低体温症に気をつけろ<下>体の保温にはこれが大事

図4 BS日テレ「深層NEWS」より

 トウガラシは口の中が辛くなって、確かに温まるような気がしますが、発汗してしまいますので、逆に体温を下げてしまいます。トウガラシが熱い地域の食べ物によく使われているのは、そのためです。冬場はトウガラシを食べると、逆に風邪を引いてしまうこともあるので注意しましょう。

 お酒は血液の循環をよくするので、温まります。けれども、循環が良くなる際に、抹消の血管が開いて放熱してしまいます。お酒を飲んで、手足がぽかぽかしてくるのは、そのためです。ですから、飲み過ぎには注意が必要です。

 入浴は、「43度で10分間」が基本と言われますが、これだとちょっと熱いので、42度で5分間くらいが適当ではないかと思います。

 運動に関しては、筋肉を動かせばいいので、例えば、食事をする時によく () むようにするだけでも、口の回りの筋肉が動くので、効果があります。瞬発力はいらないので、持続力のある筋肉を増やすことを意識するといいでしょう。

  2月19日放送のBS日テレ「深層NEWS」(月~金曜日の22時~23時放送)を再構成しました。

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