文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

深層プラス for yomiDr.

ニュース・解説

肝臓病に立ち向かう<上>脂肪肝で食い止めよ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 肝臓病を防ぐには、脂肪肝の段階で食い止めることが重要で、そのためには食生活への注意と、日頃の運動が欠かせない。BS日テレ「深層NEWS」に出演した武蔵野赤十字病院副院長の泉並木さんは、一つしかない肝臓をいかにいたわるかについて説くとともに、日本にはB型肝炎、C型肝炎を持ちながら、気付かずに暮らしている人が100万人いるとして、1度でいいので肝炎のチェックを受けるよう、訴えた。(構成 読売新聞編集委員・伊藤俊行)

◆体の中で最も重い臓器

肝臓病に立ち向かう<上>脂肪肝で食い止めよ

図1 BS日テレ「深層NEWS」より

 肝臓は問題が起きても、「痛い」というような自覚症状がありません。そのため、「沈黙の臓器」と呼ばれているのですが、痛むことがないため、どこにあるか知らない人もいらっしゃるでしょう。

 図1を見てください。肋骨の下、みぞおちよりちょっと右側に、肝臓はあります。重量は、男性で1.2キロ、女性で1.1キロぐらいありますので、体の中では最も重い臓器ということになります。

◆脂肪肝で食い止めよ

 図2は、肝臓悪化の経過をたどったもので、写真は 腹腔鏡(ふくくうきょう) で肝臓を直接見たものです。

 正常な肝臓は、つるっとした奇麗なピンク色をしています。これが、食べ過ぎたり、お酒を飲み過ぎたりすることで、フォアグラのように黄色くなっています。腫れ上がっている状態が、よく分かると思います。これが脂肪肝です。ここで止まればいいのですが、それよりも進んでしまうと、肝臓が炎症を起こして、凸凹が出てきます。こうなると、肝臓に 線維(せんい) が増えてきます。これがさらに続くと、肝硬変、その名の通り、肝臓が硬く変化する状態になってしまうのです。

id=20160325-027-OYTEI50007,rev=2,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

図2 BS日テレ「深層NEWS」より

 慢性肝炎と比べ、肝硬変の状態では、肝臓は硬くなって少し縮んできます。ここから、肝臓がんができることが多いのです。

 つまり、脂肪肝で食い止めないと、慢性肝炎、そして肝硬変に進み、肝臓がんになってしまう。写真の少し盛り上がった部分が、がんになります。

 怖いのは、「沈黙の臓器」と申し上げたように、肝臓は肝硬変や肝臓がんまで進んでも、ほとんど自覚症状がないことです。たまに、すごく食べ過ぎたり、飲み過ぎたりすると、おかしいと感じる人もいらっしゃいますが、1日たったら、けろっとしてしまう。異変があると吐いたり、痛かったりする、「おしゃべりな臓器」の胃とは違います。

 肝臓の異変は、血液検査で分かります。自覚症状がなくても、血液検査を通じ、脂肪肝の段階できちんと診察をつけ、きちんとカロリーを消費し、食生活に気をつければ、正常なつるっとした肝臓に戻る余地があります。

 よく、健康診断や人間ドックを受けて、「私は肝臓が悪いと毎年言われている」と、なんだか威張る人がいますよね。でも、毎年言われているということは、危ないということです。病気なのだから、早く治さなければいけません。自覚症状がないので、「すぐに治さなければいけない」とは思わずに、「明日からお酒を飲まないようにしよう」「明日から食べ過ぎないようにしよう」などと先送りしてしまいがちです。そこが、少し心配です。

 脂肪肝は、ひどい場合には70%ぐらいが脂肪に置き換わってしまい、肝臓の大きさが2キロぐらいになってしまう人もいます。お酒をたくさん飲まれる人にそういう症状が多いのですが、肝臓はタフな臓器ですから、どんどん脂肪をためる余裕があり、しかも、自覚症状がないことが問題なのです。

 脂肪肝から正常な肝臓に戻すハードルは、それほど高くありません。きちんと1日のカロリーを決めるとか、だらだら食いをしないで、1日3食で間食をしないとか、寝る前に食べないとか、そういった取り組みでいいのです。要は、肝臓に脂がたまらないようにすることです。食生活に気をつけ、毎日欠かさずに運動することで、脂肪肝から先に進むことを防ぐことができます。

1 / 3

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

深層プラス for yomiDr.の一覧を見る

最新記事