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シニア世代をおしゃれに…美の気配り 老いに明るさ

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川邉サチコさん サロンで伝える

シニア世代をおしゃれに…美の気配り 老いに明るさ

おしゃれを追求するシニア世代を応援する川邉さん(右端、東京都渋谷区のサロンで)=繁田統央撮影

 いくつになっても、きれいでいたい――。美容家の 川邉かわべ サチコさん(78)は、そんなシニア女性を、あえて「おしゃれマダム」と呼んでサポートする。数々の海外コレクションで活躍した“美のプロ”が、いま女性たちに伝えたい思いとは。

 東京都渋谷区の閑静な住宅街にあるサロン「KAWABE LAB」。テーブルに細やかな刺しゅうの入ったスカートやレース地の肌着が並ぶ。「こういうシルエットのスカートは、体形をきれいにカバーできるのよ」。川邉さんを囲む60~70歳の女性たちが、熱心に聞き入っていた。

 日本女性の平均寿命は86歳。元気なシニア世代は今後も増える。「ヘアメイクやファッションは、女性の心を明るくする。マダム世代のおしゃれの駆け込み寺になれたら」と川邉さん。サロンでは、その極意を惜しみなく伝えている。

 23歳で美容家のキャリアをスタート。ヘアとメイクの両方を手がける存在は珍しく、パリ・オートクチュール(高級注文服)のショーや、映画、舞台のヘアメイクの仕事が舞い込んだ。

 海外のコレクションでは、歌舞伎の化粧や日本髪をモチーフにした斬新さが話題に。日本人モデルの草分け、山口小夜子さんにパリコレクションで施した東洋的なメイクは、今も語り継がれている。

 長らくプロを相手に仕事をしてきたが、約15年前、母親の介護のため、自宅に併設したサロンに拠点を移した。この頃から、市井のシニア世代からの依頼が入るようになった。

 そこで感じたのは、女性たちが自身の個性に気付かず、周囲に同調した無難なスタイルに流されがちなこと。きれいになりたい気持ち以上に、しわやしみ、体形の変化に自信をなくしている内面も気になった。

 シニア世代がファッション提案を受けられる機会は少ない。美容サロンで年寄り扱いされることもあり、思い切ったおしゃれに挑戦しづらい。川邉さんは、カウンセリングで生活環境を尋ね、悩み事にも耳を傾ける。その上で、依頼者が様々な場面で輝けるスタイルを助言。流行に目を配りつつ、プロのちょっとしたメイク技術や最新のメイク用品なども紹介する。

 東京都練馬区の小山治子さん(68)は伸ばしていた髪を川邉さんの勧めでショートに。「変化を求める心の奥底の思いを酌み取り、新しい自分を引き出してくれた。魔法にかかったよう」。今は、おしゃれを心から楽しんでいる。

 「年を取ると楽な方に流れてしまう。食事や運動など、美しさを保つ努力を続けたいわね」。水泳で鍛え、ミニスカートをはきこなす川邉さん。女性たちは「老い方のお手本」と口をそろえる。

 米・ニューヨークでは、個性的なファッションで街を歩くマダムが話題を集める。日本でも映画や写真展で紹介され、川邉さんが“日本版マダム”として改めて注目された。昨秋からワコール(京都市)と提携、百貨店のイベントでシニア向けのトータルコーディネートを紹介している。

 「街なかの日本のマダムたちを、もっとおしゃれに。そのお手伝いができれば」。生涯現役を誓っている。

 

  メモ  川邉さんは1938年、東京生まれ。女子美術大卒業、パリで美容修業後、ヘアメイクの世界へ。数々の海外コレクションで活躍。来日時の英ロック歌手デビッド・ボウイなど、国内外の著名人を手がけた。サロンは予約制で、美容家の娘、 ちがや さん(53)と運営する。(佐々木栄)

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